薬物で満たされた3Dプリント義歯が高齢者や患者の口腔内の感染症を治療する
米国では、義歯(入れ歯)装着人口の約2/3近くが、口腔内に炎症や腫脹を引き起こす真菌感染症に苦しんでると言われている。
ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者等は、そのような患者に対し、義歯関連口内炎と呼ばれる感染症を治療するための手段として、治療薬を材料に混合した感染症治療用3Dプリント義歯を開発した。
この3Dプリント義歯は、抗真菌剤である「アンホテリシンB」を微細な球体状にしてプリント素材に混合。その素材から生成されたフィラメント(プリント用材料)を使用し、義歯を制作。薬剤で満たされた義歯は、装着者の口腔内で薬剤を定期的に放出し、感染症を治療。
研究チームは論文で、薬剤で満たされた3Dプリント義歯が、真菌の増殖を減少させることを証明している。
3Dプリント技術を活用したプロセスを確立することで、現行方法よりも高効率で低コストな治療法を実現するだけでなく、患者の口腔に最適化した義歯を短時間で制作し、提供することができるようになる。
3Dプリント義歯は、高齢者や入院中の患者、身体に障害のある方など、感染に敏感な人々に最適な治療方法として期待されているが、現在の技術では強度面に課題があるため、研究チームは今後の目標として、ガラス繊維とカーボンナノチューブを有する高強度な3Dプリント義歯の開発を目指している。
660億ドル以上に上る歯科用バイオマテリアル市場は、2020年までに14%程度の成長が見込まれており、その大部分は義歯など歯科用ポリマーの製作に集中している。
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