- 2017-4-27
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Desktop Metalは従来製品の100倍高速な新しい金属3Dプリンタ2製品をリリース
米国マサチューセッツ州に拠点を置く3Dプリンタのスタートアップ『Desktop Metal』は、従来の金属3Dプリンタを凌駕する画期的なシステムを取り入れた2つの新しい金属3Dプリンタを発表した。
2015年10月に創業したDesktop Metalは、材料科学やハードウェアなどの専門家から成るチームで、複雑で強力な金属部品を安全に生産できる金属3Dプリントシステムを開発しており、GV(旧Google Ventures)、BMW Group、GE、Lowe’s、NEA、Kleiner Perkins Caufield&Byers、Lux Capital、サウジアラムコ、Stratasysなど、名だたる企業から多額の資金を調達している。
今回発表されたDesktop Metalのラインアップ『DM Studio』と『DM Production』にはそれぞれ異なる3Dプリンタプロセスが用いられており、プロトタイプから量産まで幅広い用途に対応する。
オフィス環境にも設置可能なDesktop Metal Studio
DM Studioは、従来の金属3Dプリンタで採用されてきたSLS方式(粉末レーザー焼結)とは異なり、FDM方式のような積層方式が採用され、本体に設置されたカートリッジから供給される金属フィラメントを積層し、専用炉で焼結する。
独自に開発した「Bound Metal Deposition(BMD)」と呼ばれるこのプロセスを利用することで、高出力レーザーと金属粉末を排除し、より安価で安全性の高い金属3Dプリントプロセスを実現。
オフィスや小規模な工房などでも複雑で高品質な金属部品の製造が可能になる。
交換可能なメディアカートリッジを採用したクイックリリースプリントヘッド
DM Studioのプリントプロセス
1.デジタルデータの準備
クラウドベースのシステムからSTL(その他複数の)フォーマットファイルを読み込み、プリントを実行。
2.プリント
FDM方式同様に、特別に調合された結合金属材料を加熱し押出すことで金属部品を積層造形する。
3.焼結
完全自動化された専用炉内にある発熱体と高性能のマイクロ波を組み合わせ、プラスチックバインダーを除去。その後、造形物を融点直前まで均一に加熱(ピーク時の温度は1,400℃)し、金属粒子を融着。
作業時に発生する有害なガスなどは、専用フィルタによりろ過されるため、オフィスなどでも安全に利用することができる。
4.後処理
独自のサポート技術により、造形物から簡単にサポート材を取り外すことが可能。
サポートが部品に接着されていないため、従来の金属3Dプリントシステムのように、ワイヤ放電加工や機械加工が不要となる。
DM Studio 基本仕様
- ビルドエリア:200×200×300mm(W×D×H)
- プリント速度:16cm3/h
- レイヤー:50μm
- 発売時期:2017年
DM Studioの価格は$49,000(3Dプリンタのみ)から利用可能だが、完全なワークフローを構築するには3Dプリンタ本体の他に、焼結システムや消耗品、トレーニングなど全てが揃った$120,000(月額$3,250でレンタル可)のシステムが必要となる。
DM Studioは現在予約受付中で、2017年9月より出荷開始する予定である。
従来製品の100倍高速なDM Production System
もう一つのDesktop Metal製品である『DM Production System』は、高解像度の金属部品を量産するのに適した超高速3Dプリントシステムと位置付けられている。
プロトタイプ用途に適したDM Studioとは異なり、DM Production Systemには独自のプリント技術「Single Pass Jetting(SPJ)」と呼ばれるテクノロジが採用されており、既存のレーザーベースの金属3Dプリントシステムの100倍高速で、1時間当たり最大8200cm3/hr(ビルドエリア:330×330×330mm)の金属加工能力を有している。
Single Pass Jettingは、32,000を超えるジェットを含む2本のプリントバーがパウダースプレッダーと連動しパウダーを広げ、1秒間に数百滴の液滴を噴出し1回のクイックパスでプリントを実行。
DM Production Systemは、低コストのMIMパウダーを利用した高スループットとシンプルな後処理工程により、従来の金属3Dプリントシステムよりも20倍低いコストを実現。鋳造など、既存の金属製造技術の代替手段に適したシステムとなっている。
DM Production Systemの価格は$420,000で、現在予約受け付けており、2018年初頭に出荷開始予定。
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