3Dプリント製ジェットエンジン模型最新事例

FDMやSLSなど数種類の造形方式と材料で製作した電動式大型3Dプリント製ジェットエンジン模型

id.arts(アイディーアーツ株式会社)では、これまで複数の教育機関や博物館などからのご要望に対し、3Dプリント技術をベースに製作した、様々な機構を有する3Dプリント製ジェットエンジン模型を開発してきましたが、今回また新たに教育用ツールとして電動式大型3Dプリント製ジェットエンジン模型を開発いたしました。

今回開発した電動式大型3Dプリント製ジェットエンジン模型は、過去に開発してきたジェットエンジン模型の一つのカテゴリーである「電動二軸回転式」を採用した作品で、アナログスピードコントロールモーターによる制御で、低速~高速まで自由な速度でファンやタービンを二軸回転(異なる方向に回転)させることが出来る仕様になっています。

数種類の造形方式と素材を利用した3Dプリント部品

このタイプのジェットエンジン模型では、展示台と直動(メカニカル)部品の一部を除き、ほぼすべての部品を3Dプリンタで製作しており、細かなネジ類まで含めると、500個以上(複雑な仕様の場合は1,000個を超える場合も有り)のパーツから構成されています。

今回開発した全長600mmを超えるような大型模型を製作する場合、サイズの大きな部品の3Dプリントには、SLS方式で造形したナイロン素材の部品を利用する場合が多いのですが、予算や製作期間など、個々の条件に応じて、様々な造形方式や素材による3Dプリントを行います。

今回紹介した事例では、美観を優先する細かな部品や、組立時に微調整が必要な精密部品の造形にFDM/FFF方式3Dプリンタを活用しています。

高精度なコンシューマー3Dプリンタの活用

これまでの作品に含まれてきたFDM方式による3Dプリント部品の製造には、社内所有するStratasysのFDM方式3Dプリンタを中心に利用してきましたが、今回は予算面の都合から、より安価に部品製造するためにFFF方式のコンシューマー3Dプリンタを使用。

仕上がり時の美観が重要な外装パーツの造形には、Ultimakerの最新3Dプリンタ「Ultimaker 3」で製作。積層跡が目立たず、高精細な3Dプリントが可能なUltimaker 3は、ファン周りや燃焼室など、美観を優先する部品の他、内部に埋め込むための駆動部品や、モーター類の固定用冶具などの造形にも活用しています。

本体価格40万円台と、ハイエンド機の1/10以下の価格で購入できるコンシューマー機でありながら、工業向けFDM方式3Dプリンタに劣らぬ精度を有するUltimaker 3は、PLAやABSなどの汎用素材からナイロンやTPUなどのエンジニアリング向け素材、水溶性PVAサポート材にも対応する万能型の3Dプリンタです。
なにより、異なる素材を使用した場合でも、造形精度に差が生じないのがこのプリンターの優れた点で、今回紹介したエンジン模型のように、様々な材料の適用が必要な製作物には非常に適した機種です。

また今回は、予算の都合から大型部品の造形にSLS方式ナイロンを使用できなかったため、部品単体で400mm前後となるナセル(エンジンを覆う外装)を構成する複数の部品造形に、大型FFF方式3DプリンタをラインアップするSlab(エスラボ)社にご協力いただきました。

Slab社は、500mm×500mm×500mmサイズの造形に対応した大型FFF方式3Dプリンタ「S3DP555」をラインアップしており、ナセルを構成する大型部品の造形でS3DP555を使用させていただきました。


大型部品の造形時間は1部品当たり約70時間

こうして完成した電動式大型3Dプリント製ジェットエンジン模型は、2017年11月24日から26日の期間、東京・お台場テレコムセンタービルで開催された「サイエンスアゴラ 2017」にて展示。

来場された方々へ、ジェットエンジンの基本的な仕組みを理解してもらうための教育向けツールとして活用されました。

また、大型ジェットエンジン模型とは別に、子供達でも簡単に組み立てられるように設計した「組立式3Dプリント製ジェットエンジン模型」を製造し、展示スペースに来場された方々へ、エンジン模型の組立て体験を楽しんでいただきました。

電動式同様に二軸回転できるid.artsオリジナルの組立式エンジン模型

3Dプリンタを利用するメリット

ジェットエンジン模型のように、再現する本体の仕様、利用目的、デフォルメレベル、設置環境、予算規模、製作期間など、限られた条件内で一点毎に作品を製作するには、カスタマイズ性能に特化した3Dプリンタの活用は欠かすことができません。
また、作品の構造やそれに必要とされる強度や精度に応じ、造形方式や使用する材料を自由に変えられると言うのは、3Dプリンタを利用する最大のメリットです。

id.arts(アイディーアーツ株式会社)では、今後も様々な機構や大きさの3Dプリント製ジェットエンジン模型を開発していく予定です。

このような特殊な模型や、STEM教育向けツールなどの開発・購入に関するご相談があれば、気軽にお問い合わせください。
問い合わせフォーム
尚、今回ご紹介した作品と同タイプの電動式3Dプリント製ジェットエンジン模型は、教育機関や企業だけでなく、一般の方でもご発注いただくことが可能です。


関連記事

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る