- 2018-12-20
- フィラメント・材料, 最新情報
- 3DFS, 3DPrinting, 3Dプリンティング, ABS, FDM, FFF, filament, TuneD3, Ultimaker, フィラメント, 仕上げ加工, 表面仕上げ, 試作, 電子工作
FDM/FFF方式3Dプリンタと透明フィラメントを使用して3Dプリント製透明部品を造る方法
3Dプリンティング関連情報を共有するサイトFennecLabsを運営するMakerのTomer Gluck氏は、デスクトップタイプのFDM/FFF方式3Dプリンタで、レンズなどの透明部品を製作するチュートリアルを公開した。
一般的なFDM/FFF方式3Dプリンタで使用できるフィラメント(材料)には、多くの透明フィラメントが有るが、通常のプリントプロセスでは、プリント時の不均一性により、プリンタ内部に小さな隙間(泡)が残ってしまい、通過する光を散乱させ、透明度の高い作品を造形することができない。これは、FDM/FFF方式プリンタが、100%ソリッドなパーツを作成することに適していないのが原因である。
通常、材料を節約するために用いられるインフィル(内部充填)を100%に設定しても、プラスチック材料の押出し時に、レイヤー間に僅かな隙間が生じてしまい、不均一な光の拡散を作り出し、透明なオブジェクトを造ることができない。
そこでGluck氏は、無料のスライスソフトウェア「Cura」のパラメータを調整(下記参照)し、レイヤー間の隙間を埋めるのに十分な材料を、低速度で過剰に押し出すという方法を見つけ出した。
この方法では、Curaのカスタム設定画面から、レイヤーピッチを0.05mm(50ミクロン)の最小値とし、プリント速度を24mm / sまで下げ、Z軸の手動調整により、造形中のオブジェクトとノズル先端部の隙間を極限まで狭めている。
今回のテストでは、押出機の設定温度を、テストに用いたフィラメント「Prusa ABS」の最大温度である255℃に設定。可能な限り高い温度に加熱し、オーバー・エクストルージョン(流量> 100%)を適用することで、プリント時に前の層の溝に材料を押し込んでいる。
当然だが、残りの材料が残っているとプリントの純度を損なう可能性があるため、ホットエンドが十分キレイであることを事前に確認することが不可欠となる。
Cura の設定内容
- レイヤー高さ:0.05 mm
- インフィル密度:100%
- インフィルオーバーラップ率:6%
- フロー:108%
- プリント速度:24mm / s
- プリントクーリングを有効にする:オフ
- プリント温度:255°C(推奨範囲で最も高い温度)
- ビルドプレート温度:100°C
- ノズル径:0.4mm
仕上げ(研磨)工程
次のステップとして、プリントされた粗い表面を滑らかな表面に仕上げる必要がある。
Gluck氏は、ABSの表面処理で利用されるアセトンを使った平滑化も試したが、表面が滑らかになるだけで造形物自体が雲ってしまい、望ましい結果を得る事が出来なかった。
幾つか試した仕上げ加工で最も良い結果となった方法は、サンドペーパーによる研磨で、#600~#4000までのサンドペーパーを用いたドライサンディングにより、透明度の高い作品を作り出すことができた。
FDM/FFF方式の3Dプリンタで製作されたレンズは、望遠鏡などの使用に適した物ではないが、DIY作品を作る上では、十分な性能を有している。
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