- 2016-7-10
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XYZ Printing ダヴィンチ 1.0 Proの性能を検証
2016年2月に発売開始されたXYZプリンティングジャパンの新型3Dプリンタ「ダヴィンチ 1.0 Pro」は、プロフェッショナルユーザーをターゲットにリリースされた製品で、同社のエントリーモデルよりもやや高い9万9800円(税込)の価格設定となっている。
シンプルなモノクロ仕様液晶パネルなど、筐体自体は既存のダヴィンチ 1.0 Aとほぼ同仕様ですが、カラーリングがレッド×ブラックに変更され、より引き締まった印象のデザインに仕上げられています。
そして今回リリースされた「ダヴィンチ 1.0 Pro」の特徴は、従来型の純正フィラメントに加え、サードパーティー製フィラメント(ABS&PLA)に対応した点と、オプションとして利用可能となったレーザーモジュールと、WiFi機能(一部機種では対応済み)の実装でしょう。
今回の検証では、同梱されていた純正フィラメントによるテストと共に、ダヴィンチ 1.0 Proから対応するようになったサードパーティー製フィラメントによるプリント検証を行っています。
また、記事後半では基本となる3Dプリント機能だけでなく、オプションとして利用可能となったレーザーモジュールについても簡単な検証結果をお伝えしています。
3Dプリンターとしての性能
ダヴィンチ 1.0 Proには、ダヴィンチ 1.0 Pro専用ソフト「XYZware for Pro」が付属しており、材料特性などに応じた詳細な設定が可能となっています。
先ずはプリセットデータを使い、デフォルト設定値のまま純正フィラメントを使って造型してみました。
ガラス製だったダヴィンチ 1.0 Aに代わり、ダヴィンチ 1.0 Proの造型台はアルミ製へと変更されている。
純正フィラメント(デフォルト設定値のまま)による造形では、比較的にキレイにプリントすることができましたが、細かい部分の仕上がり精度を上げる多少設定値の見直しが必要かもしれません。
また今回は、プリセットデータの他、Thingiverseで公開され話題となった「Digital Sundial」を使ったプリントも行ってみました。
Digital Sundialは本体の全幅が200mm弱とやや大きいため、ダヴィンチ 1.0 Proの造型エリアギリギリでプリントを実行。
ベース部分の一部が反ってしまった…
純正材料 + デフォルト設定値のままプリントしていますが、最少幅1mm以下のDigital Sundialを造形するには、トライ&エラーを繰り返しもう少し設定値を追い込んでいかないとダメかもしれません。
仕上がりはイマひとつでしたが、一応Digital Sundialとしての機能はなんとか果たしています。
ダヴィンチ 1.0 Pro基本仕様
- 本体サイズ:468×558×510mm
- 本体重量:23.5kg
- 造形サイズ:200×200×200mm
- 積層ピッチ:0.1~0.4mm
サードパーティーフィラメントを検証
前述の通り、ダヴィンチ 1.0 Proではサードパーティー製フィラメント(1.75mm径のABSまたはPLAフィラメント)に対応したため、検証用に数種類のフィラメントを使用した実機テストを行ってみました。
但し、純正以外のフィラメントの使用はあくまでメーカーサポート対象外となっているため、他社製フィラメントを使用する場合は、自己責任での利用が前提となっています。
純正フィラメントは既存ダヴィンチシリーズ同様カートリッジ式となっており、本体内に装填する仕様となっていますが、サードパーティー製フィラメントの利用時には、スプールを固定できるフィラメントホルダー等の準備が必須となります。
フィラメントの取回しにも多少注意が必要なので、サードパーティー製への対応が前提であれば、その辺りへの配慮も欲しいところですね。
また、付属するソフトウェア「XYZware for Pro」からは詳細な設定が可能となっているため、サードパーティー製フィラメントの利用時には、材料の特性に合わせた設定内容をプリセット登録可能。
サードパーティー製フィラメントを検証
3Dプリント用フィラメント専門ショップ『3DFS』を運営するid.artsでは、常時在庫する40種類以上のフィラメントから数種類の材料をピックアップし、造型テストを行ってみました。
下写真は、3DFSでも人気の高い高性能PLAフィラメント『ProMatte』を使用した造型サンプル(上)と、純正フィラメント(下)による比較。
上:ProMatte、下:純正PLAフィラメント
造形台への定着性もよく、プリント精度の高いProMatteでは大きなエラーもなく比較的キレイに造形できましたが、ColorFabb社の「nGen」や「colorFabb_HT」といったコポリエステル系フィラメントの他、下記材料を使ってのプリントテストでは、残念ながら上手く造形を行うことができませんでした。
恐らくXYZware for Pro上からセッティング値を調整し、トライ&エラーを繰り返すことで回避は可能だと思いますが
この辺りの情報は、サードパーティー製フィラメントを使用したユーザー間による共有などが実施されると良いですね。
造形テストに使用したフィラメント
- ColorFabb:コポリエステル系フィラメント「nGen」「colorFabb_HT」
造形結果 NG:造形台への定着性の不足と、造型中のローディングエラーに伴う吐出エラーなど - Polymaker:ポリカーボネート系フィラメント「PC-Plus」
造形結果 NG:造型中のローディングエラー - FormFutura:食品対応フィラメント「HDglass」
造形結果 NG:造形台への定着性の不足と、造型中のローディングエラーに伴う吐出エラーなど - Type A Machines:「ProMatte」
造形結果 OK
※前述の通り、サードパーティー製フィラメントはサポート対象外のため、安定した造形を望むならばやはり純正フィラメントの利用がベストです。
レーザー彫刻機としての性能を検証
そしてダヴィンチ 1.0 Proで対応となったレーザーモジュールへの対応。3Dプリント用ヘッドをレーザーモジュールへ交換することにより、レーザー彫刻機として、皮、紙、木材などの素材にレーザー刻印を施すことができるようになっています。
検証のためレーザー彫刻した段ボール、革、木材、コルク
オプションのレーザーモジュールへの交換はとても簡単。
3Dプリントヘッドとケーブルを取り外し、そのままレーザーモジュールへと差し替えるだけ。特に複雑な設定を必要とせず、直ぐにレーザー彫刻機として利用が可能となります。
左:3Dプリンタヘッド、右:レーザーモジュール
3Dプリンタヘッドと共通のケーブルを接続してヘッドを取付
ヘッド交換後は、専用ソフトウェア「XYZware Pro」からレーザーモジュールモードに切り替えるだけで、直ぐにレーザー彫刻機として使用開始することができます。
下の映像は、実際にレーザー彫刻を行っている時の様子
今回試しに濃淡の再現が難しい「モナリザ」を段ボールに刻印してみましたが、かなり細かい部分までキレイに再現できることが確認できました。
レーザー刻印に使用した元画像
レーザーモジュールについては、現状でもそれなりの性能を発揮していますが
ソフトウェア上のパラメーター設定等、まだかなり大雑把な感じが否めないため、この辺りは今後のバージョンアップで見直されることに大きく期待したい部分です。
こんな方におススメ
上級者向け機種としてリリースされた「da Vinci 1.0 Pro」
ソフトウェア性能など含め、もう少し改良が望まれる部分もありますが、今後リリースされるであろうファームウェアやソフトウェアのバージョンアップにより、これらの機能改善は期待できると思います。
10万円を切る価格でありながら、レーザーモジュールやサードパティ―製フィラメントへの対応などの基本性能も充実しているため、以下のようなユーザーにおススメの機種です。
- 従来の低価格モデルからステップアップしたい中級者以上のユーザー
- 初期投資費用に限りのある小規模なデザイン事務所や設計事務所
- 多様な材料を使ってプリントしたいホビーユーザー
- 気軽にレーザー彫刻も楽しみたいユーザーなど
初期投資を抑えつつ、それなりの性能を得たいユーザーにとって「da Vinci 1.0 Pro」は最適な機種ではないでしょうか。
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