カナダの獣医学研究チームは癌に侵された犬の治療に3Dプリント技術を活用
カナダ・オンタリオ獣医学院(Ontario Veterinary College)の獣医師は、大きな癌腫瘍に侵された犬の頭部手術を行うため、チタン素材の3Dプリント頭蓋骨パッチを製作。動物癌手術の新たな可能性を開くプロジェクトとして研究成果を発表した。
手術を受けたダックスフントの頭部は大きな癌性腫瘍に侵されており、これを取り除くためには頭蓋骨の大部分を切除する必要があった。
今回発表された手術手順は、北米獣医学初であっただけでなく、癌研究における本質的な課題を打ち破る革新的な解決策のひとつであることを示した。
担当医であるミシェル・オラクル医師率いる医療チームは、腫瘍部位を含む頭蓋骨をCTスキャンし、いくつかの異なるソフトウェアプログラムを使用して、頭蓋骨の約70%に当たる代替3Dプリント用頭蓋骨データを生成。
デジタル化された頭蓋骨から、3Dプリント部品の納まりやネジ位置等を確認しカスタマイズされた頭蓋骨パッチ用データは、同じオンタリオ州に本拠を置く医療グレード3Dプリンティング企業「ADEISS」に送られ、チタン素材で3Dプリントされた。
完成した3Dプリント製頭蓋骨パッチは、約4時間の手術を経てダックスフントに移植。手術を終えたダックスフントは、目を覚ましてから30分程度で無事に歩き出すことができた。
医療チームは「このような新規の癌治療法は、獣医学における大きな進歩である」と語っている。
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