原子力潜水艦向け重要部品を金属3Dプリンターで製造へ
豪州発の金属3Dプリンティング企業 AML3D は、米国の大手造船会社 Austal USA の先端技術部門で、米海軍向けの金属3Dプリント技術の実用化を担う組織である Austal USA Advanced Technologies から、米海軍の原子力潜水艦向け部品を受注した。
今回の受注額は約50万豪ドル(約5,600万円)で、AML3Dは米オハイオ州ストウの拠点で、原子力潜水艦に使用される大型の高圧流体制御部品3点を製造する。

採用されるのは、AML3D独自のWAM(Wire Additive Manufacturing)と呼ばれる方式で、金属ワイヤをアークの熱で溶かし、ロボット制御で一層ずつ積み重ねる仕組みで、大型部品を完成形に近い形まで効率よく造形できる。鋳造では型の製作や複数工程が必要になる場合があるが、WAMではデジタルデータから直接造形できるため、調達期間の短縮やサプライチェーンの簡素化が期待できる。一方で、潜水艦向け部品では造形後の機械加工や検査、材料特性の確認も重要であり、3Dプリントだけで完成するわけではない。

今回の3Dプリンター材料には銅ニッケル合金(CuNi)が使われる。CuNiは海水に対する耐食性に優れ、海水配管や熱交換器、船舶設備などで長年使用されてきた材料で、特に高い圧力がかかる潜水艦用途にも適している。海洋分野では古くから実績のある材料だが、それを積層造形向けに認定し、実用品へ転換する点が今回の特徴である。
AML3Dはこれまで米海軍関連でCuNiの材料認定や部品試験を進めており、今回の受注は、その評価結果が実製造につながった例といえる。

米海軍は潜水艦産業基盤の生産能力強化を進めており、AML3Dによれば2030年には約1,600の部品を積層造形で供給する需要が想定されている。同社はすでに米海軍の潜水艦産業基盤向けに16台の大型金属3Dプリンターシステム「ARCEMYシステム」を展開している。これは、3Dプリンターが試作機を作る装置から、船舶や防衛分野の実用品を支える生産設備へと役割を広げていることを示す事例であり、今後は補修部品や入手困難部品のオンデマンド生産への応用拡大も注目される。
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