鋳造・鍛造部品を金属3Dプリント品へ置換、潜水艦の建造・修理を高速化する新基準
米海軍は、潜水艦の建造や整備で発生する部品不足や長納期問題を解消するため、金属3Dプリント部品を迅速に採用できる新たな技術要件を導入。従来の承認工程を大幅に整理し、3Dプリンターを潜水艦の製造・修理へ本格展開する。

これまで潜水艦の鋳造品や鍛造品を3Dプリンターで製造した金属部品へ置き換える場合、部品ごとに技術評価、図面修正、初回品試験などを繰り返す必要があった。新たに導入された技術要件「PPD 802-8436658」では、この工程を標準化し、条件を満たした金属3Dプリント部品をより迅速に採用できる仕組みを整えた。対象は潜水艦の設計、建造、オーバーホール、修理まで幅広く、すでに即時運用が認められている。
造船業界が抱えるサプライチェーン問題は深刻で、特殊な金属部品では納期が長期化することがあり、古い潜水艦ではメーカーの撤退や部品の生産終了も整備を難しくしている。必要な部品をデジタルデータから製造できる金属3Dプリンターは、こうした長納期部品や廃番部品を補う新たな製造手段となる。

金属3Dプリント部品は原子力潜水艦「USS Washington」と「USS Nevada」で実運用され、深海での運用実績も積み上げられている。今回の変更は、その実績を個別事例にとどめず、より多くの部品へ展開するための基盤づくりといえる。
もちろん、3Dプリンターで作れるからといって安全基準が緩和されるわけではない。潜水艦の安全性に直結する「SUBSAFE」など重要な部品では、従来の品質要求に加え、材料の追跡管理や非破壊検査が引き続き求められる。また、金属粉末やワイヤーなどの3Dプリンター材料についても、製造条件と品質を管理することが不可欠となる。

米海軍は現在、コロンビア級原子力潜水艦を年間1隻、バージニア級を年間2隻建造する「1+2」体制を目標としている。既存艦の維持と新造艦の建造を同時に進めるには、従来型の製造だけでは供給能力がボトルネックになり得るが、金属3Dプリンターは、必要な部品を必要な場所へ迅速に供給する実用的な生産技術へと役割を広げつつある。
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