昆虫食のための3Dプリントツール

子供達に昆虫食について楽しく学んでもらうための3Dプリントプロジェクト『Tastebugs』

世界人口は、2050年までに100億人に達すると予測されており、深刻な食糧不足問題に対応した持続可能な食糧供給源の確保が必須とされている。
そんな問題に対応する手段のひとつとして、3D Hubs Student Grantの参加者である英国ノーサンブリア(Northumbria)大学の学生 Jay Cockrell(以下 ジェイ)は、昆虫食を学ぶためのプロジェクト『Tastebugs』を立ち上げた。

Tastebugsは、次世代を担う子供達に、食用昆虫の処理方法や食べ方について理解してもらうことを目的に考案されたプロジェクトで、子供達が遊び感覚でチャレンジできるよう、オモチャのようなスタイルと機能性を有したモジュラー式キッチンツールとなっている。

食用昆虫は、牛肉に匹敵するほどの豊富なたんぱく質や、必須アミノ酸、オメガ3、オメガ9といった良質な脂質も多く、高い栄養素を含みながら、牛よりも僅かな水や飼料で育成することが可能なため、将来訪れるであろう食料危機に対応した高栄養食材として期待されている。

そんな昆虫食に着目する消費者は年々増加し、世界の食用昆虫市場は、2020年に8,000万ドル規模に達すると予測されている。

プロジェクトを立ち上げたジェイは、昆虫食を準備するためのキッチンツール「Tastebugs」の制作に、3Dプリント技術を活用。

Tastebugsは、昆虫を粉砕するためのミル、成形用の注入器やコンパクターなどの部品から構成されており、各部品の制作には、SLA方式やFDM(FFF)方式の3Dプリンタが使用されている。

3Dプリントモジュール上部に設置される半透明の部品には、DSM Somos Watershed(優れた透明性と耐水性を備えた光造形用材料)から生成された部品を使用し、各モジュールのメインとなる部品には、Formlabs Form 2とStandard Resinが使用され、仕上げのため木目調のビニールシールが貼られている。
また、ハンドルやアクセサリーなどの付属部品は、FDM(FFF)方式プリンタで造形されたPLA素材の部品が適用されている。

このようなプロジェクトに3Dプリント技術を採用する最大のメリットは、データと3Dプリンタさえあれば、どこでも同じ性能を有するキッチンツール(昆虫食に必要なツール類)の製造が可能となる点にある。
また、部品が破損したり、新しいモジュール部品が作成された場合に、必要な部品だけを必要な時に、短時間&低コストで入手することができることも、3Dプリンタを活用するメリットのひとつである。

3Dプリント技術のメリットを活かした「Tastebugs」は、教育機関を通し、子供達に昆虫食に対する理解を深めてもらい、来るべき将来に向けての「食」教育として普及させようとしている。


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