PPE廃棄物を3Dプリント用の材料に

PPEから出るプラスチック廃棄物を3Dプリント用の材料としてリサイクルするプロジェクト

オーストラリアの ANSTO(原子力科学技術機構)は、歯科および医療機器などの用途向けセラミック3Dプリントを専門とするオーストラリアの製造会社 3RD Axis と共同で、マスクやガウンなどの使用済み個人用保護具(PPE)から出るプラスチック廃棄物を3Dプリントの原料に変換する革新的なプロセスの開発に取り組んでいる。

このプロジェクトの目標は、マスクや滅菌ラップなど、廃棄されたり古くなったりしたPPEの原材料をリサイクルし、3Dプリンタ用のポリマーフィラメントを製造するための原料として使用することにある。ANSTOのイノベーションセンターである「nandin」のメンバーである3rd Axisは、この技術を進展させるための助成金を獲得。最初の助成金の授与後、プロジェクトの実現可用性に取り組み、押出機がフィラメントを作るために使用する原料を提供する廃棄物分離プロセスを検証するための初期の材料特性評価を完了させた。

この技術では、PPEベースの原料からクリーンで分離されたコアエレメント材料を提供する必要があり、3rd Axisは既存のスチール製押出機とは一線を画すセラミックスクリュー式プラスチック押出機を開発。

3RD Axisは医療廃棄物業界のパートナーと協力し、病院、医療センター、ホテル、救急車両で使用できる収集・分離プロセスの合理化に取り組んでいる。ANSTOによれば、コロナパンデミックの発生以来、世界中で1日に160万トンのプラスチック廃棄物が発生し、COVID-19の安全対策により毎日34億個の使い捨てフェイスマスクが廃棄されていると推定されている。3RD Axisが開発するこの技術は、PPEのリサイクルだけでなく、他のプラスチックや素材のリサイクルの可能性を広げるとして期待されている。

3RD AxisのCEOであるAndrew Cooper氏は「私たちが求めているのは、これらの材料を使い捨ての経済から脱却させ、次の製品としてより長いライフサイクルを持つ耐久性のある製造品に変えることです。政府、産業界、研究者が共通の目標に向かって協力し雇用と機会を提供することで、世界のヘルスケア分野における廃棄物管理という非常に深刻な問題に対処する素晴らしい例です」と述べている。


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