IDC国内3Dプリンティング市場予測を発表

調査会社IDC Japan株式会社が国内3Dプリンティング市場の2013年~2015年の実績と2016年~2020年の予測を発表

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2015年の国内3Dプリンティング市場の総売上額は344億8,600万円(前年比成長率4.4%)でした。このうち3Dプリンター本体は、売上額141億1,100万円(同マイナス32.5%)、出荷台数7,900台(同マイナス20.2%)でした。IDCは、国内3Dプリンティング市場の2015年~2020年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を15.3%、2020年の総売上額を702億300万円と予測しています。

2015年の3Dプリンター本体市場は大きく縮小しました。市場セグメント別で見ると、デスクトップ3Dプリンター本体の出荷台数が6,300台(前年比成長率マイナス19.3%)、売上額が9億2,500万円(同マイナス40.9%)でした。マイナス成長となったのは、2014年に3Dプリンターが注目されて出荷台数が急増したものの、その後、造形物の限界が明らかになったことなどから、一般消費者の購買意欲が一気に低下したことが大きな理由であるとIDCではみています。また、この失望感は2016年以降にも影響するとみており、2020年の出荷台数を3,700台(2015年~2020年のCAGR マイナス10.2%)、売上額を6億4,200万円(同マイナス7.0%)と予測しています。

プロフェッショナル3Dプリンターは、2015年の本体出荷台数が1,600台(前年比成長率マイナス23.5%)、売上額が131億8,600万円(同マイナス31.8%)でした。マイナス成長となったのは、デスクトップ3Dプリンターと同様に2014年にブームに乗って先行投資したユーザー企業が多く、2015年はその反動が表れた結果とみています。しかし、プロフェッショナル3Dプリンターは製造業を中心に着実に応用範囲を広げていることから、IDCでは2020年の出荷台数を2,400台(2015年~2020年のCAGR 8.2%)、売上額を193億9,000万円(同8.0%)と、今後5年間のプラス成長を予測しています。

本体以外では、関連サービス売上額が118億3,300万円(前年比成長率62.1%)、造形材料売上額が85億4,200万円(同77.3%)と、2015年に市場が大きく成長しました。関連サービス市場では、3Dプリントサービスの認知と利用が拡大したことに加え、前年の2014年に大きく導入が進んだプロフェッショナル3Dプリンターの保守/修理費用が売上額を押し上げました。また造形材料市場では、ユーザー企業の3Dプリンター利用が広がったことにより、消費量が増加しました。

2016年以降、国内3Dプリンティング市場は成長を維持するとIDCではみています。具体的には、3Dプリンター本体市場は2015年~2020年のCAGR 7.3%で成長し、2020年に200億3,200万円に達すると予測しています。また、関連サービス市場は2020年に202億200万円(同期間のCAGR 11.3%)に、造形材料市場は299億6,900万円(同28.5%)に達すると予測しています。IDCでは、市場の成長にはプロフェッショナル3Dプリンターの果たす役割が大きく、ユーザー企業や3Dプリントサービス事業者への導入が拡大を続け、それに伴って関連サービスや造形材料の売上額が増加する構図が続くとみています。

今回IDCでは、上記の市場予測に加え、3Dプリンティング技術を応用した具体的な事例の調査を行いました。その結果、特に歯科分野と医療分野で特徴的な事例が存在し、実際にプロフェッショナル3Dプリンターで歯科技工物や人工骨といった高度な造形物を受託製造していることが分かりました。さらにある企業では、3Dプリンティング技術を取り入れた新しい製造工程やビジネスモデルを確立し、事業拡大を図っています。IDCでは、こうした工程やビジネス変革の動きは今後、歯科分野や医療分野はもとより製造業にも波及し、さらには国内の産業構造にも影響を及ぼす可能性があるとみて注目しています。

IDC Japan イメージング,プリンティング&ドキュメントソリューション マーケットアナリストの菊池 敦は「3Dプリンティングは、IDCがイノベーションアクセラレーター(今後の産業界やIT市場を大きく変革する重要な要素)の一つとして、IoTやロボティクスなどと並んで特に注目するテクノロジーである。今回の調査で、単に複雑形状品を作ることから一歩進み、製造工程やビジネスモデルを変革し得る点に3Dプリンターの価値を見出しているユーザーが存在することが分かった。ベンダーは今一度そうした観点から3Dプリンターの用途を見直し、訴求を行うべきである」と述べています。

IDC-20160728


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