生きた菌糸から3Dプリントされた柱

生きた菌糸から3Dプリントされた建築用柱はキノコも収穫できる

ロンドンを拠点とするデザインスタジオ Blast Studio(以下 ブラストスタジオ)は、生きた菌糸を3Dプリントする方法を開発し、その方法を用いて、建築構造要素として使用する前にキノコを収穫できる生きた建築用柱を3Dプリントした。

Photo : Blast Studio

Tree Column」と名付けられたこのバイオマス構造物は、使用済みのコーヒーカップを破砕して煮沸し、紙パルプと菌糸を混ぜて3Dプリント可能なバイオマテリアルを生成。次に、この生体材料を押出式のカスタム3Dプリンタに供給して、10個の柱状モジュールをプリントした。柱の高さは2メートル以上あり、木の幹を連想させるうねりのある構造で、水分を閉じ込めるために働く一連のマイクロポケットが備わっており、強度と菌糸に必要な生育条件の両方を満たすアルゴリズムで設計されている。

食料供給としての役割を終えた柱は、高温(約80℃)で乾燥させて菌類を死滅させ、耐荷重性のある構造体として固めることができる。ブラストスタジオによれば、最終的な構造体へと変化した柱は、MDF(中密度繊維板)に近い強度を持ち、断熱性や難燃性も備えているという。

材料の弾力性のおかげで圧縮と屈曲の両方に優れているこの柱は、家や小さなビルのような建築物において、コンクリートの代用品として用いることが可能なため、ブラストスタジオは次のステップとして、複数の柱で構成される大きなパビリオンを年内に3Dプリントすることを計画している。

ブラストスタジオの共同設立者であるPaola Garnousset氏によれば「この3Dプリント柱は、様々な種類のキノコを植え付け、収穫しながら機能的な建築物の柱としても使用できる多目的な構想から造られています。私たちのビジョンは、自己修復が可能で、収穫して人々を養うことができる新しいタイプの生きた建築を始めることです」と語っている。

ブラストスタジオは今後、このユニークなプロジェクトをスケールアップし、最終的には大きなパビリオンや建物全体を3Dプリントし、実際にそこに住む人々を養う都市環境を実現したいと考えている。


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