- 2021-6-7
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独自のアルゴリズムと機械学習により高解像度のフルカラー3Dプリントを高速に実現
チェコ プラハの名門大学であるチャールズ大学のコンピュータグラフィックスグループ(CGG)の研究チームは、MPIザールブリュッケン、USIルガーノ、ケルディシュ研究所モスクワ、ISTオーストリア、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)等と協力し、機械学習をベースにフルカラー3Dプリント技術を向上させるための新しい手法を開発した。
現在のマテリアルジェッティング(以下 MJ)方式の3Dプリンタは、さまざまな色のプリントが可能で、今日では主に、プロトタイピング、文化財保護、医療用義肢、手術モデルなど様々な産業用途に使用されており、最近ではカスタムゲームフィギュアのプリントサービスや、コマ撮り映画のキャラクターアニメーションなど、エンターテインメント分野でも活用が広がっている。
従来のMJシステムは、一般的な2Dプリントと同様に、複数の基材(CMYK+α)をベースにカラーブレンドされた様々な半透明の樹脂をUVライトで精密に硬化させることで、幅広い色調を作り出すことができる。このようにフルカラー3Dプリントは色再現の自由度が高い反面、色のにじみが細かいディテールの再現に物理的な限界をもたらすことになり、テクスチャのディテールはぼやけ、造形されたパーツのシャープさや正確さに影響を与える場合がある。このにじみは3次元的なものであり、肉厚の薄いオブジェクトの場合、色の影響を受けやすく精密な造形には適さないことがある。
研究チームのこれまでの研究では、材料の配置を慎重に最適化することで、シャープネスとコントラストを回復できることが証明されており、プリントされたオブジェクトの外観を仮想シミュレーションすることで、入力されたデータを最も忠実に再現する材料の配置を繰り返し見つけることができた。今回新たに発表された論文では、この仮想シミュレーションのための新しい手法を提案。この手法は非常に効率的で、ひとつのGPU(グラフィックプロセッサー)だけで処理が済むため、従来の手法に比べて最大で300倍の高速化を実現し、着色された3Dモデルの準備時間が数十時間から数分に短縮されるという。
ニューラルネットワークは、数百万のテストランに基づいた学習により光が表面下でどのように散乱するか、またある表面の点が周囲の材料からどのような影響を受けるかを効率的に予測することが可能なため、より忠実なフルカラー3Dプリントを高速で再現することができる。
この研究に関する論文「A Gradient-Based Framework for 3D Print Appearance Optimization」は、Computer Graphics Forum誌5月号に掲載されている。
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