3Dプリント技術で珊瑚礁の減少を食い止める

イスラエルの研究チームがサンゴ礁の減少を食い止める3Dプリントアルゴリズムを開発

イスラエルの主要大学であるバル=イラン大学テクニオン大学ハイファ大学テルアビブ大学の研究者等から構成された研究チームは、世界中で減少が続くサンゴ礁を保護するのに役立つ新しい3Dプリントプロセスを開発した。

地球温暖化や沿岸部の都市化の進展などにより、世界のサンゴ礁は急速に減少しており、その多くが絶滅の危機に瀕している。その結果、サンゴ礁に依存する海洋生物に大きなストレスを与え、海洋の生物多様性に壊滅的な影響を及ぼしている。
研究チームによるこの研究は、減少を続けるサンゴ礁を救うため、以下の2つの重要な要素に取り組むことを目的としている。1つ目は、世界中のサンゴ礁の大規模な修復を容易にする革新的で適応性のあるアプローチの必要性。そして2つ目は、サンゴ礁の再生を支える地元のサンゴ、魚、無脊椎動物の種を引き付けるサイズとデザインの両方で、自然の複雑さを再生することにある。

研究チームは、3Dスキャン、環境DNAサンプリング、3Dプリントのアルゴリズムを組み合わせ、生命を維持し、特定の環境に合わせ、サンゴ礁の生態系全体の再生を促すことができる独自の3Dプリントセラミックのサンゴ礁を造ることに成功。

研究チームは、この新しい3Dプリントプロセスを実証するため、イスラエル南部の沿岸都市エイラート沖のサンゴ礁の水中写真をスキャンし、そこから正確なデジタル3Dモデルを作成。サンゴ礁の複雑な形状を計算し、その形状がサンゴ礁の種の多様性を促進することを理解するため、数千枚の画像を撮影して研究室に送った。さらに分子生物学的手法で環境遺伝情報を収集し、サンゴ礁に生息する生物のデータを取得。このデータをサンゴ礁の特徴など他のパラメータと合わせ、3Dテクノロジー・アルゴリズムに組み込み、サンゴ礁のインタラクティブなパラメトリックモデルを構築。このモデルによってサンゴ礁のインタラクティブなパラメトリックモデルが構築され、目的のサンゴ礁環境に正確に適合するよう設計した。

最後にチームは、セラミック3Dプリントプロセスを使って3Dプリントされたサンゴ礁をエイラート沖に設置。プリントに使用されたセラミック材料は、水中で自然に多孔質になり、サンゴ礁の復元に理想的な条件を提供するように設計されているという。

チームはこの3Dプリントプロセスとアルゴリズムを、同様の問題を抱える世界中のサンゴ礁に展開することを計画している。


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