米軍が米国最大の3Dプリント構造物を建設

米陸軍とICONがテキサス州に北米最大となる3Dプリント新兵舎を建設

米国国防総省(DoD)は、テキサス州に拠点を置く建設用3Dプリント会社 ICON と協力して、テキサス州のフォートブリスにそれぞれが5,700平方フィート以上の広さとなる3つの兵舎を建設中で、完成時には米国最大の3Dプリント構造物となるとされている。
この兵舎は、2020年にICONと米海兵隊が共同でキャンプ・スウィフトに建設した北米最大の3Dプリント構造物(国防総省が持つ記録)に次ぐものであり、さらにこの新しい建造物は、国防革新ユニット(DIU)の建設的規模付加製造(CSAM)プロジェクトの一環として、国防総省が新たに発表したアディティブ・コンクリート建設用の統一施設基準(UFC)に適合するとしている。
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建設中兵舎のコンセプト画像

ICONの大型3Dプリントシステム「Vulcan」と、独自の高強度コンクリート「Lavacrete」を使って建設中の兵舎は、米国最大の3Dプリント構造物の新記録を樹立するだけでなく、国防総省の統一設備基準に準拠した3Dプリントコンクリート構造物の設計・建設における初の構造物となる。


ICONの3Dプリントシステムで建設された3,800平方フィートの兵舎

今回の兵舎建設に使用されるICON独自の高強度コンクリート「Lavecrete」は、1平方インチ当たり2,000~3,500ポンドの圧縮強度を有しており、過酷な気象条件に耐えることが可能で、自然災害の影響を大幅に軽減すると同時に、最大限の効率性を発揮する。またこの材料は、ICONの「Vulcan」3Dプリンティングシステムを使った高速プリントに対応しているため、大規模な構造物を従来の建設手法よりも迅速に建設することができる。

これまでの国防総省の基準では、明確な仕様が定められていなかったため、建設用3Dプリント技術を有数する企業が国防総省の建設プロジェクトに入札できず、コスト、リードタイム、材料効率の面で、この技術が提供する大きなメリットと効率性を活用することができなかった。

現在の建設積層造形(アディティブ・コンストラクション)にはほぼ規制がなく、材料、プロセスにおいて明確な基準が設けられていない。このため国防総省は、DIUおよびICONが手掛けるプロジェクトが、それらの課題解決を主に担っていくことになり、他の業界は、軍が作った規制に準じて試行錯誤することになるだろうとしている。つまり、アディティブ・コンストラクションが住宅産業の未来としてある程度確立されようとも、米軍の定めた仕様が国の新しい建築基準法を構築する上で重要な役割を担うと考えている。


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