ラットの脳細胞から生きた神経回路網を3Dプリント

モナシュ大学、ラットの脳細胞から生きた神経ネットワークを3Dプリントすることに成功

オーストラリアのビクトリア州にあるモナシュ大学の研究チームは、ラットの脳細胞から生きた神経回路網を3Dプリントすることに成功。この技術革新は、技術的なブレークスルーを意味するだけでなく、動物実験に代わる新たな選択肢を提供し、オーダーメイド医療に新境地を切り開くものである。

研究室で行われた実験には、特殊な3Dプリントシステムの使用が含まれており、研究チームは記録電極を使用して、特定の構造で細胞を増殖させることに成功。これにより、細胞は3次元環境で移動および相互作用することが可能となり、実際の脳組織の状態を模倣することができる。

このプロセスはインクジェットプリンティングに似ている。研究チームは、ラットの脳細胞を含むゲル状のバイオインクを使用して、ノズルを通して足場に丁寧に付着させた。この方法により、細胞は必要な栄養素を確実に摂取できるようになり、脳の独特な構造が再現された。
研究チームは、同じくモナシュ大学の専門家であるヘレナ・パーキントン氏と協力し、神経細胞だけでなく他の重要な細胞からなる脳組織を作製し、プリントされた神経細胞が自然の脳と同じように相互作用できることも確認している。

米国テュレーン大学の生物医学工学の専門家であるマイケル・ムーア氏は、この明らかな成功にもかかわらず次のように述べている。
「この仕組みには克服すべきハードルがまだまだあります。3Dプリンタで繊細な組織を作るのはさほど時間のかかる仕事ではないですが、この革新的な技術を大学の研究室から製薬業界へと移行するには、長い研究開発期間が必要です。」

この研究が進むことで動物実験が廃止され、神経科学と先端技術の組み合わせによる、より倫理的で正確な方法に置き換えられる未来が来るかもしれない。


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