3Dバイオプリンティングで癌治療がより効果的に

韓国の研究者が3Dバイオプリンティング技術で癌治療がより効果的になる可能性を示す

世界的に癌の罹患者数および死亡者数は増加しており、世界保健機関(WHO)によれば、2020年だけでも全世界で約1000万人、つまりほぼ6人に1人が癌で死亡するとされている。治療法の研究が進められているとはいえ、効果的な治療法の発見にはまだ多くの課題が残されている。韓国機械材料研究院(KIMM)と韓国バイオサイエンス・バイオテクノロジー研究院(KRIBB)の研究チームは、新しい3Dバイオプリンティング技術を利用し、癌治療をより効果的する研究結果ついて発表した。

固形腫瘍とは、血管と結合組織から構成され、固さと形状を持つ悪性腫瘍と定義され、特に免疫療法では治療が困難な場合がある。この治療法は、免疫系、特にナチュラルキラー細胞(NK細胞)、人体に有害な細胞を排除する白血球を高める物質を使用する。がんセンターによると、免疫療法は進行がん患者に推奨されることが多く、ある種のがんの治療に有効であることが知られている。それゆえ、積層造形の利用を含むこの最新の研究が行われるのである。

3Dバイオプリンティングとがん治療

本来、免疫療法ではNK細胞を静脈注射するが、この新しい方法では、3DプリントしたハイドロゲルがNK細胞をカプセル化する。これによりNK細胞の損失を防ぎ、大部分のNK細胞が腫瘍細胞そのものを標的とすることができる。これは、アルギン酸ナトリウムとゼラチンのハイドロゲルに時間の経過とともに形成される孔によって達成され、NK細胞はその後放出される。NK細胞はハイドロゲルに注入され、プリント、培養されるため、NK細胞の細胞生存率と活性も向上する。

今のところこの研究は有望であり、公式の研究論文では、ハイドロゲルがNK細胞に適した環境を作り出したと述べている。これにより、NK細胞の3Dバイオプリンティングが実行可能な治療法となり、効果的ながん治療への道が開かれたとしている。

KIMMの研究責任者であるSu A Park氏は「この技術は、がん治療のためにNK細胞の機能性を大幅に向上させるのに役立ちます。私たちは、この新しく開発された技術を通じて、患者さんの治療に貢献したいと考えています」と述べている。


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