世界初の3Dプリント製気管移植成功

韓国の医療チームが世界ではじめて3Dプリント製気管の移植に成功

韓国の5大病院のひとつであるソウル聖母病院の医療チームは、3Dプリンティング医療機器企業 T&R Biofab と共同で、世界初となる3Dプリント製気管の移植に成功した。この先進的な取り組みは、甲状腺がんやその他の気管疾患の治療法に革命をもたらす可能性がある。

医療チームは、鼻づまりの治療や鼻中隔の手術の際に廃棄された細胞である鼻の幹細胞と軟骨細胞を他の患者から入手し、構造サポート用のポリカプロラクトン(PCL)と生きた細胞を支えるための特殊なバイオインクを組み合わせ、3Dプリント製の人工気管を作製。甲状腺がんの手術に伴い一部の気管を失った50代の女性患者に対し移植を行った。
この手術の画期的な点は、患者が免疫抑制剤を必要とせず、術後6ヵ月経過した現在も気管が順調に治癒しているだけでなく、新しい血管が形成され始めていることである。

同病院によれば、気管を摘出した後の既存の治療法では元の臓器を回復させることはできず、しかも複雑で危険だという。しかし、3Dプリント技術と幹細胞を使用した人工気管を患者に移植するこの革新的な技術は、甲状腺がん、先天性異常、様々な気管損傷を抱える人々に対する先進的な治療法への道を開く可能性があるとしている。

T&R Biofabの科学戦略責任者であるパウロ・マリーニョ博士は「3Dバイオプリンティングが現在の移植用臓器不足の解決策になり得ると言うには時期尚早ですが、一部の臓器や特定の適応症の問題を部分的に解決する、あるいは少なくとも古典的な医療機器と臓器移植の間のギャップを埋めるという期待は間違いなく高まります」と述べている。


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