設計フロー効率化のための多機能トランスレータ「IFC-VAX」

設計フロー効率化のための高付加価値・多機能トランスレータ「IFC-VAX」β版リリース

CADやCG等のアプリケーションソフトウエアを開発・販売するアプリクラフトは、IFCデータの品質チェック、編集、変換、軽量化をシームレスに実現し、設計フロー効率化のための高付加価値・多機能トランスレータ「IFC-VAX」のβ版をリリースした。

IFC-VAX1は、IFC2データの入出力に対応した高い付加価値を有する汎用のトランスレータで、3Dモデルや属性のビューワとしてはもちろん、その他にもモデルのチェック機能や各種修正・編集機能、メッシュ削減やシュリンクラップ(モデル全体を包む閉じたメッシュを作成)、モデルの内面のみを抽出する機能など、IFCデータを活用する上で便利なさまざまな機能が利用可能で、設計モデルから各種解析モデルへの簡略化作業や、3Dプリント用モデルの作成、協力会社とのデータのやり取りの際のチェックなどに役立つ。

IFC-VAX1の主な機能

IFC4データの入出力、Rhinoモデルとの相互変換
IFC4の入出力に対応。読み込んだデータはRhinoモデル(現在はメッシュのみ対応)やSTLに変換可能。

IFCデータの3D形状と属性の可視化
IFCデータのビューワとして利用。ビューを操作して3次元での形状の確認が可能で、属性・プロパティも確認でき、一部の属性は編集・コピーが可能。

隙間や干渉、面の表裏のチェック
オープンエッジ(隙間や開口)、オブジェクト同士の干渉の検出機能を持ち、開口や干渉があると、解析やシミュレーションができない、3Dプリントができない、別のソフトウェアに読み込めない、などの問題が発生する場合があるのでそれらを事前にチェックできる。面の表裏のチェック・修正機能も搭載している。

メッシュ軽量化
ポリゴン数を削減(メッシュリダクション)する機能を搭載。形状を維持したままポリゴンを削減したり、ある程度の形状の変化を許容(形状をならす)してポリゴンを削減することができる。

Rhinoと連携して編集
IFC-VAX内で編集しきれない高度な処理が必要な場合は、Rhinoと連携し、RhinoやGrasshopperの機能を用いてデータを処理することが可能。編集し終わったデータは構造を保ったままIFC-VAXに戻すことができる。

STLデータへの出力
STLデータとして出力が可能なので、3Dプリント用のモデルとしてほとんどのスライサーソフトに対応。

開発背景

多くの建築系の3次元デジタルツールは、IFCという中間ファイルの入出力をサポートしているが、建築モデルは計画、設計、構造、施工など工程毎に必要とされる3次元モデルが異なり、さらに異なるデジタルツールが使用されることが多い。このため、工程の上流から受け取った3次元モデルは、受け取った工程で必要なデータが欠損している場合や、逆に不要なデータが存在する場合がある。また、すべてのデジタルツールが同じIFCの要素(Entity)を使用しているわけではなく、ほかにもIFCデータを読み込む際に、不適切な形状データの存在(規約違反、不正な数学的表現など)、デジタルツール間での精度の違い、意図を反映する属性構造の解釈相違(使用クラスの違い、対応関係が不明、カスタマイズした使用方法など)といった原因でデータが欠損する場合がある。
IFCとして変換出力される前の、デジタルデータの品質は作成者によってまちまちである。主に、データの整合性不足(外観重視、不可視領域の作り込み不十分)、データの重複・干渉や隙間などの存在、過度なデータ容量、モデリング基準検査の未実施といった問題が挙げられる。品質に問題のあるモデルデータから出力されたIFCデータは、その不具合を継承するとともに、さらにサポートするIFCクラスの違いによりデータそのものが欠損することが発生する。
IFC-VAXは、上記のような問題を解消し、建築設計のワークフローを効率化することを目的として開発が進められている。


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