ウクライナ紛争被害者に3Dプリント義足を届ける

3Dプリント義足のインスタリム、ウクライナ紛争被害者に義足を届けるためのクラウドファンディングを開始

3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して、世界初となる3Dプリント義足を海外で製造販売するインスタリムは、長期化するウクライナ紛争において激増するウクライナ市民の脚切断患者に対し、100本の義足提供を目的として、同社独自の3D・デジタル遠隔製造技術を用いた義足提供プロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングサイト「READYFOR」にて事業費の募集を開始。募集期間は2023年4月21日から6月19日で、募集金額530万円を目指す。
キャンペーンページ https://readyfor.jp/projects/instalimb_ukraine/

クラウドファンディング立ち上げの背景

ウクライナの義肢装具提供およびリハビリ施設設立プロジェクト「Superhuman Center」発表の資料によれば、ウクライナでは現在、最大5000人もの人が義足を必要としている。現地の義足製作所によると、寄付などにより義足製作のための材料もパーツもあるが、圧倒的に義足を作る人材が不足しているという。義足製作は世界を見渡しても未だそのほとんどが手作業であり、ウクライナでは現在、この手仕事の職人の多くが国外に避難してしまっている上、国内に残された数少ない職人の人的リソースは、主に最前線で負傷した兵士のための義足製作に特化して利用されている。

ウクライナの被害者 Photo : Unbroken

インスタリムは、フィリピンとインドを拠点に、金銭的理由で義足を購入できない人たちに向けて3Dプリント義足を届ける事業を展開しているが、今回の紛争において、5000人もの人が『義足』を必要としていると知り、2023年1月に実際にウクライナを訪問。現地の医療機関や義肢装具製作所への調査を行った結果、「私たちのデジタル義足製作技術でなら、ウクライナの市民により多くの義足を届けられる」と理解し、義足を待っているウクライナの人たちに向けて100本の義足を届けようと、クラウドファンディングを立ち上げ、資金の募集を開始した。

ウクライナの被害者とインスタリム代表徳島氏

3D義足と遠隔製造について

同社の3D義足デジタル製造ソリューションは、義肢装具製作専用の3Dプリンタ、独自アルゴリズムによる形状レコメンド機能などを備えた3Dモデリングソフトなどの独自開発の技術からなり、従来の手作業の約10分の1となるコストダウンを実現。また、今までの手作りのものと比較して、義肢装具士1名あたり10倍程度の生産量の増大が期待できる。製造販売を行うフィリピンおよびインドでは、ユーザーの断端(切断した脚部)の3Dスキャン・試着をユーザー宅で訪問実施しつつ、義足そのものの製造は、ユーザー宅よりインターネット経由で送信されたデータを用いてセントラルファクトリーで行う、リモート製造・販売を実現済みである。

従来型のアナログ義足製作と同社のデジタル義足製作の比較


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