本物と同じように動作する3Dプリント心臓

MITの研究チームが本物の心臓のように動作する個人専用ロボット心臓を3Dプリントする技術を開発

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、外見だけでなく患者の心臓の動作まで完全に再現できる3Dプリント製ロボット心臓を制作する方法を開発。これにより心臓病の治療をより効果的に行うことができるようになる。

心臓疾患は、世界的に見ても主要な死因の一つであり、その数は増える一方となっていることがデータで示されている。ある研究によれば、コロナパンデミック時には心臓発作による死亡率がすべての年齢層で急増したとされており、心臓病を治療する効果的な方法を見つけることは多くの医師にとって優先事項となっている。

3Dプリント技術は、患者一人ひとりに合わせた治療を行う上で、重要な役割を果たすと考えられており、研究メンバーのひとりである機械工学のエレン・ロッシュ教授は今回の研究成果に対し「患者の流れや圧力に合わせることができたのは、心臓の解剖学的構造をプリントするだけでなく、その力学や生理学も再現しているのです」と述べている。

MITによって開発されたこの方法では、患者の心臓の医療画像を元に3Dモデルへ変換。そのデータから患者自身の心臓の構造を再現した3Dプリント心臓と大動脈を包む血圧計のようなスリーブを作製し、心臓のポンプ作用を模倣。さらに研究者は、スリーブを空気圧システムに接続し、スリーブの気泡をリズミカルに汲み上げたり、心臓を収縮させてポンプ作用を模倣するように、吹き出す空気を調整できるようにした。また、3Dプリントした大動脈を囲む独立したスリーブを膨らませることで血管を圧迫することも可能なため、大動脈弁が狭くなり血液の体内循環が悪化する病気である大動脈弁狭窄症を模して、この狭窄を調整することができるようになる。
大動脈弁狭窄症は、大動脈の弁を大きくするための人工弁を手術で挿入して治療するのが一般的だが、将来的には、患者の心臓と大動脈を3Dプリントし、プリントしたモデルに多数の弁を埋め込んで、どのデザインが理想的な機能を持ち、患者に合うかを判断することができるようになるという。

MITによる3Dプリントレプリカ心臓は、患者に移植することを目的としたものではないが、心臓の形状が独特であったり、困難であったりする患者個人のために理想的な治療法開発に役立つ可能性があるとしている。


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