がん放射線治療を変える3Dプリント口腔ステント

手作業中心だった口腔ステントをデジタル化、頭頸部がん患者向けステントを最短72時間で3Dプリント

米国の医療技術企業 Kallisio は、頭頸部がんの放射線治療で舌や顎の位置を安定させる患者専用口腔ステント「Stentra」を、口腔3Dスキャンと3Dプリンターを組み合わせて製造。
最長約2週間を要していた工程を、適切なスキャン受領後72時間以内の出荷へ短縮している。

頭頸部がんの放射線治療では、腫瘍へ正確に放射線を当てる一方、舌や歯肉、唾液腺など周囲の正常組織への照射をできるだけ抑える必要がある。治療は通常、数週間にわたり繰り返されるため、毎回ほぼ同じ位置に舌や顎を固定することが重要になる。
従来の口腔ステントは、歯型を採取して石こう模型を作り、ワックスやアクリルで手作業する工程が多く、患者の再来院や技工所との受け渡しを含めると完成まで約2週間かかる場合があった。

KallisioのStentraは、歯科用の口腔内スキャナーで約10~15分かけて口腔形状を取得し、その3Dデータを基に患者専用形状を設計する。製造にはSLS方式の3Dプリンターと生体適合ナイロンを採用しており、金型や専用治具を使わず複雑な形状を造形できる。重要なのは造形速度そのものではなく、歯型作製、模型製作、手作業、再調整といった工程間の待ち時間をデジタル化によって減らした点で、Kallisioは有効なスキャン受領後72時間以内の出荷を実現している。

Stentraは米国FDAの510(k)クリアランスを取得しており、外部放射線治療中に舌と顎を繰り返し位置決め・固定する医療機器として認められている。
462人の中咽頭がん経験者を対象とした研究でも、舌を偏位・圧下する口腔ステントの使用は、一部条件で味覚障害や嚥下・咀嚼困難などの長期症状の減少と関連した。


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