ニューヨーク州、3Dプリンタ購入希望者に身元調査を実施⁈

ニューヨーク州、3Dプリント銃の製造を防ぐ事を目的に3Dプリンタの販売を規制する法案を検討中

3Dプリンタで製造された「ゴースト・ガン(3Dプリント銃)」をめぐる議論が新たな展開を見せており、ニューヨーク州では、銃そのものではなく3Dプリンタの販売を規制するための法案が検討されている。

押収された3Dプリント銃(ウェストチェスター郡警察)

ニューヨーク州のジェニファー・ラジクマー州議会議員は、銃器製造が可能な3Dプリンタの購入を希望する者の犯罪歴調査を義務付ける法案(AB A8132)を提出。この法案は、銃器製造が可能な3Dプリンタの購入を希望する者に対し犯罪歴の調査を義務付けるもので、3Dプリンタがゴースト・ガン製造に悪用されるのを防ぐことを目的としている。

押収された3Dプリンタと3Dプリント銃

ゴースト・ガン(3Dプリント銃)は、3Dプリントされた銃器だけでなく、キットから組み立てられた武器も含まれ、シリアル化されておらず追跡不可能な銃器を指す。多くの場合、身元調査なしで製造および入手ができる状態となっているため、これらの銃器をめぐる議論は全米でも注目され、2021年7月にはマサチューセッツ州選出の上院議員エド・マーキーによって「3Dプリント銃安全法」が米上院に提出された。この法案は、3Dプリンティング銃のデータのオンライン共有を阻止することを目的としているが、今回検討されている法案では、3Dプリンタそのものを直接の標的としている。

3Dプリントされた銃部品類

身元調査なしで組み立てられ、シリアル化されていない追跡不可能な銃器の問題は、最近になって大きな注目を集めている。連邦最高裁判所は先ごろ「アルコール・タバコ・火器・爆発物取締局(ATF)」が、ゴースト・ガンを連邦法上の銃器に分類することを妨げていた下級審判決を一時的に停止する判決を下したことで、最近特に緊急性を増している。ATFは、これらのキットや3Dプリント銃に、シリアルナンバーの必要性など、従来の銃器と同じ法的要件を課す新たな規制を導入した。

銃や暴力に関するイベント時に展示されたゴーストガン(ホワイトハウス)

2021年に追跡調査を開始して以来、マンハッタン地区検事局はゴースト・ガンに関連する90件の起訴を報告。ニューヨーク州では、免許を持つ銃所有者が3Dプリンタで自作の銃器を製造することは認められているが、自作された銃器はATFに登録する義務が課せられている。
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今回の法案は、3Dプリンタが違法な銃器製造に使う可能性を持つ者に渡るのを防ぐことを目的としているが、銃器製造に関連する3Dプリンタの規制において重要な進展を意味する。これらの議論が続く中、3Dプリンティング業界は、公共の安全と先端技術へのアクセシビリティのバランスを考慮しなければならない。


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