Formlabs、Rapid+TCTで新製品発表

Formlabs、Rapid+TCTで「UL 94 V-0」グレードの難燃性レジンと「ビルドプラットフォーム2L」などを発表

米国マサチューセッツ州サマービルに本社を置く3Dプリンタメーカー Formlabs は、2023年5月2日より米国シカゴで開催された3Dプリント/AMの大規模展示会「Rapid + TCT」にて、SLA光造形向け新材料 「Flame Retardant(難燃性)」レジン、Form 3L対応の「Build Platform 2L(ビルドプラットフォーム2L)」の他、同社ソフトウェア「PreForm」が3MF形式ファイルへの対応を開始したことを発表した。

難燃性規格UL 94 V-0、FAR 25.853認証取得済み材料「Flame Retardant(難燃性)」レジン

新材料の「Flame Retardant」レジンは、主に航空宇宙、自動車や鉄道等のモビリティ、電子機器や医療機器などの製造に求められる厳格な難燃性要求に対応する最終製品での使用を想定したUL94の難燃性規格V-0認証取得済みの高機能材料となる。
樹脂材料は原則的に石油精製品であることから難燃性をもたせることが難しく、3Dプリントの材料としてはFDM/FFF方式のフィラメントや、ごく一部の光造形用レジンが既に販売されているが、今回発表された新材料は、Formlabsの特許技術である「LFS(Low Force Stereolithography™)」テクノロジーを用いたSLA光造形における極めて高い精度をもった難燃性部品のプリントを実現した。
商品ページ:https://3dprinter.idarts.co.jp/items/78194399

Flame Retardant(難燃性)レジンのコネクタサンプル

また、既存の難燃性光造形用材料では、高温に加熱するまでプリントが行えないオペレーション上の難しさ、そしてプリント後に向上してしまう脆性の影響で割れやすいという課題があったが、「Flame Retardant」レジンは加熱を行わずにプリントでき、尚且つ造形品も高い強度を維持することができる。更に、造形品にはM3サイズのタップを切ることも可能で、Form 3シリーズの自動化ソリューション「Form Auto」を併用することで、筐体やコネクタなど最終製品向けの難燃性部品を24時間365日の常時稼働で高効率に量産できるようになる。
「Flame Retardant」レジンは、既にFormlabsのWebサイトよりサンプルを無料請求可能。また、テクニカルデータシート(TDS)では、業界でも珍しい試みとして、最終製品での使用を検討するメーカーのため、第三者機関による各種のテストレポートを添付して公開している。

Form 3シリーズの自動化製品「Form Auto」

Flame Retardantレジンの材料特性

新材料の「Flame Retardant」レジンは、UL 94 V-0認証のBlue Card(アディティブマニュファクチャリング用の樹脂材料に発行されるもので一般樹脂材料はYellow Card)を取得しており、FAR 25.853(a)の燃焼、発煙性、ガス毒性の試験にも合格。また、裸火、発火源、高温環境などへの耐性も備え、剛性と耐クリープ性にも優れた機能性材料となっている。
「Flame Retardant」レジンは、Form 3、Form 3+、Form 3B、Form 3B+、Form 3L、Form 3BLにて使用可能。
商品ページ:https://3dprinter.idarts.co.jp/items/78194399

UL難燃グレードとFAR試験

  • UL 94:V-0(3mm)
  • FAR 25.853 Appendix F, Part I (a) (1) (ii)12秒垂直燃焼試験:合格(2.5mm)

主な機械的特性

  • 最大引張強さ:41MPa
  • 引張弾性率:3,100MPa
  • 破断伸び:7.1%
  • 曲げ強さ:75MPa
  • 曲げ弾性率:2,700MPa
  • アイゾット衝撃強さ(ノッチ付き):22J/m

造形品を瞬時に取り外せるビルドプラットフォーム2がForm 3L/3BLに対応

新製品の「Build Platform 2L(ビルドプラットフォーム2L)」は、これまでデスクトップ型のForm 3シリーズで販売されていたビルドプラットフォーム2をベンチトップサイズの大容量機であるForm 3L、Form 3BLに対応できるサイズに大型化したもので、最大でForm 3シリーズの約5倍の体積となるW335 x D200 x H300mmのプリントに対応。
商品ページ:https://3dprinter.idarts.co.jp/items/78193321

ビルドプラットフォーム2同様に、特許技術のクイックリリーステクノロジー(Quick Release Technology)を搭載することで、特に大型品のプリント時に多大な時間と労力を要していたビルドプラットフォームからの造形品取り外しが瞬時に完了できるため、後処理時間を劇的に効率化することが可能。また、より幅広い形状のモデルをサポート材を使用せずにプリントできるようになることで、プリント時間の短縮、材料費の削減をも実現している。

次世代3Dファイルフォーマット、3MF形式に対応

Formlabsのソフトウェア「PreForm」において、これまでのSTL形式とOBJ形式に加え、新たに3MF形式ファイルに対応した。3MFとは、3MF委員会により開発・発表された主に工業製品に向けた3Dファイルフォーマットで、従来のSTL形式ファイルでは表現できない材料情報や色彩情報を含めたより広範な情報を保存できるファイル形式となっている。


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