子供の重度火傷治療に3Dプリントを使用

フランスの小児医療専門チームが子供の重度火傷治療に3Dプリント技術を活用

フランスのリヨン近郊にある小児リハビリテーションセンター Centre Romans Ferrari(以下 ロマンズ・フェラーリ)は、3Dスキャンと3Dプリント技術を使用して、カスタマイズされた圧縮フェイスマスクを作製するための新しいデジタルワークフローを開発。このマスクは、重度の顔面火傷を負った子供たちの合併症や傷跡リスクを軽減する。

圧縮フェイスマスクを着用した患者と医師

石膏ギプスを使用していた従来のフェイスマスク作製プロセスは、患者にとって不快で強いストレスを与えていたが、ロマンズ・フェラーリの医師や義肢装具士などから構成されたエンジニアチームは、3Dスキャナーと、FormlabsのSLS方式3Dプリンタ「Fuse 1」を使用して、より効率的で快適な圧縮フェイスマスクを作製する方法を開発した。

Fuse 1でプリントされた患者の顔データ

マスク作製用デジタルワークフロー

  1. 患者の顔を3Dスキャナーでスキャン
  2. スキャンデータを元に3DCADソフトウェアを使ってマスクをデザイン
  3. 3D化されたマスクデータを「Fuse 1」で3Dプリント
  4. 3Dプリント品を成形用型として装着用マスクを熱成形

3Dスキャナーで患者の顔を3Dスキャン

ロマンズ・フェラーリのチームは、従来の方法よりも速く、患者にとってより快適でより良い結果をもたらすこの革新的な技術が、世界中のリハビリテーション・センターで共有され、より多くの患者の重度火傷に対するより良い治療の恩恵を受けられるようになることを目的としており、同センターには既に様々な国からこの技術に関する情報を求める声が多数寄せられているという。

3Dプリントされた顔を原型にしてマスクを成形

ロマンズ・フェラーリは現在、フランスで重度の火傷を負った子供の約25%を治療しており、国内だけに留まらず、イタリアやヨルダンなどの他国の診療所とも協力している。 

技術革新と医療従事者とエンジニアの協力により、重度の火傷を負った患者の生活の質を向上させることができる技術が広まり、3Dプリンタのような最先端の技術が世界中で採用されることで、より多くの子供たちが、より効果的で快適な火傷治療の恩恵を受けることができるようになることが期待される。


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