再生ペット3dフィラメントはCO2排出量を35%削減

KIMYAが再生PETGフィラメントのライフサイクル分析結果を発表

フランスの印刷・コーティング会社 ARMOR の子会社で、3Dプリンティング材料メーカーである KIMYA はこのほど、リサイクルPETGフィラメントを使用することで、CO2排出量を大幅に削減できると結論付けたライフサイクル分析(LCA)結果を発表した。

KIMYAが発表したライフサイクル分析(LCA)とは、製品やサービスの製造および使用など、ライフサイクルを通して環境に与える影響を測定する多段階・多基準の分析である。今回発表されたLCAは、パリを拠点にユーザーによる二酸化炭素排出量削減を目的とした会計プラットフォーム「Greenly」と共同で、フランスの環境・エネルギー管理庁(ADEME)のガイドラインに基づき実施されたもので、発表された分析結果によれば、リサイクルされたPETGフィラメントは、リサイクルされていない標準的なPETGと比較して、最大で35%のCO2排出量削減に貢献するという。

KIMYAによる環境への取り組みは、リサイクルフィラメントだけに留まらず、水溶性インクとリサイクル段ボールを使用した100%環境にやさしいパッケージなどにも適用されている。さらに、KIMYAの3Dフィラメントスプールの取り付けフランジは、95%リサイクルされたポリカーボネートで構成されており、将来的には完全なカーボンアセスメントを実施し、カーボンフットプリントを正確に数値化して、CO2排出量を削減するための具体的な対策を講じることを目指すとし、3Dプリンターユーザーに対し持続可能性と天然資源の保護の観点からリサイクルフィラメントの使用を増やすことを推奨している。

AM製造における環境への取組み

製造業では、AM製造が従来の方法と比較してより持続可能な生産方法を提供すると言われており、フランスの製造サービスプロバイダーである Sculpteo による「The State of 3D Printing」2022年版によれば、Additive Manufacturing(AM)は主要な業界ユーザー(経営者、エンジニア、デザイナー)の環境への影響を改善することが示されており、調査に協力したインタビュー回答者の41%が、AM製造が企業の持続可能性目標の達成に役立つと肯定。さらに、製造業者の61%がAM技術によって生産ニーズを満たすことができると述べており、回答者の84%が将来的なAMの可能性について楽観的であると主張している。

各企業の取組みの一例として、世界有数のテクノロジー企業シーメンスでは、自動車用グリッパーのカーボンフットプリントを削減するため、AM技術をどのように適用できるかを2022年のFormnextで展示。同社のProduct Carbon Footprint CalculatorとNX for AMデジタルプロセスチェーンを用いることで、自動車用ハンドリングロボットのグリッパーの質量を64%削減できることを発見。その結果、この部品が73%安く製造できるだけでなく、CO2排出量が82%も削減されたいう。
また、3Dプリンタメーカー大手の EOS も、同展示会で「PA 2200 CarbonReduced」と「PA 1101 ClimateNeutral」と言う2つの新しい環境配慮型素材を発表し、より持続可能な社会を目指す姿勢を示している。PA 2200は、より効率的で持続可能な製造工程で開発され、従来のガソリンベースの材料に比べてCO2排出量が約45%減少。PA 1101はバイオベースのパウダーで、ガソリンポリマーよりもフットプリントが小さくなっており、カーボンオフセットを証明する証明書とともに出荷される。


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