リコーとシーメンスが提携

リコーとシーメンス、工業用アルミニウムを使用したバインダージェットの量産化で提携

日本の光学機器メーカー RICOH(以下 リコー)は、世界的なエレクトロニクス企業 Siemens(以下 シーメンス)と提携し、量産を目的とした工業用アルミニウムを使用したバインダージェッティング(BJT)技術を工業規模の大量生産に最適化するため、協業を開始したことを発表した。

バインダージェッティング技術(BJT)による高効率空冷ヒートシンク(Photo : Ricoh)

リコーは、プロセスの効率を最大化し、BJTのメリットを工業環境で活かすために必要な規模を実現するため、シーメンスの「Additive Manufacturing Network」機能を利用している。さらにリコーは、シーメンスのAdditive Manufacturing Networkを導入し、生産準備、計画、スケジューリング、生産管理のアルミBJTワークフローを少ない労力で最適化している。また、リコーはシーメンスのBrownfield Connectivityを導入し、品質の安定化と生産の制御に必要な各プロセスの情報収集・蓄積も開始。シーメンスは今後もアルミBJTワークフローに最適化されたソリューションをリコーに提供し、両社でこれらの技術の早期商業化を目指すとしている。

Additive Manufacturing Network の注文送信画面

リコー独自のバインダージェッティング技術は、同社のインクジェット印刷技術と専門知識を応用したものであり、機械加工や鋳造など、従来の金属加工では不可能だった、より複雑な形状の金属部品の製造を可能にする。BJTのプロセスでは、アルミ合金の粉末がモデリング領域全体に広げられ、特別に配合されたバインダーで固化されて部品が成形され、部品全体の成形が完了するまで層の1つひとつで同じプロセスが続けられる。プロセスが完了すると「グリーンボディ」部品は炉内で焼結され、そのまま使用することも、下流の後処理チェーンに入れることもできる高密度の最終用途の部品として完成する。

Additive Manufacturing Network を使用した製造計画とスケジューリング

シーメンスのデジタル・マニュファクチャリング・ソフトウェア担当シニア・バイスプレジデント、ズヴィ・フォイヤー氏は次のように述べている。「アルミ部品の製造は積層造形産業にとって究極の目標であり、リコーが産業ソフトウェアのSiemens XceleratorポートフォリオからシーメンスのAdditive Manufacturing Network機能を選択し、需要が見込まれるプロセスの商業化を支援できることを嬉しく思っています。リコーとのコラボレーションでは、リコーの積層造形の専門知識に、オーダーの取り込み、生産計画、製造、部品配送、取引終了まで、幅広い産業にわたって積層造形固有のオペレーション管理テクノロジーを提供してきたシーメンスの知識と経験を適用します。シーメンスとリコーは共同で、堅牢なアルミ積層造形部品の再現性と一貫性を、商業界において真に活用するのに必要とされる規模にまで実現することに取り組んでいます」

リコーのリコーフューチャーズビジネスユニット、アディティブマニュファクチャリング事業センター所長である福嶋徳太郎氏は次のように述べている。「リコーは、これまでどのようなプロセスでも製造されたことのない革新的なアルミ部品をお客様が製造できるようにし、お客様と協力してEVやその他のモビリティ製品の電動化の分野でお客様の新たな価値を実現します。シーメンスの強力なソリューションと知識をリコーのアルミBJTと組み合わせることで、量産向けの信頼性の高い実用的なシステムをお客様に提供できるようになります。リコーはお客様とともに電動化を推進し、脱炭素社会の実現などの社会課題の解決に貢献していきたいと願っています」


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けする「Newsletter 3DP id.arts」への登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る