サポートなしのセラミック3Dプリント技術

江南大学の研究チームが複雑なセラミック構造をサポートなしで3Dプリントする技術を開発

中国・江南大学の研究チームは、複雑なセラミック構造をサポートなしで3Dプリントする新しい技術を開発。Nature Communications誌に掲載されたこの研究は、直径0.41mmから3.50mmまでのマルチスケールフィラメントをその場で硬化させる新しい手法に焦点を当てている。

サポートなしのセラミック3Dプリンティング

このセラミック3Dプリント手法は、ダイレクト・インク・ライティング(DIW)と近赤外(NIR)光誘起アップコンバージョン粒子支援光重合を組み合わせて使用するもので、先ず圧力をかけてセラミックスラリーを押し、その後980nmのNIRレーザーがノズルから出たスラリーに照射され、光重合によって材料を即座に固化・硬化させる。これにより、サポートなしで空間に自由に引き伸ばすことができるセラミック構造体の3Dプリンティングが可能になるという。

近赤外光による描画プロセスの概略図 image:Nature Communications

デジタル光造形、ステレオリソグラフィ、バインダージェットなどの従来の3Dプリンティングプロセスでは、高解像度のセラミック部品を高い生産率で製造することができるが、ラージスパン(中間支持体なしで大きな距離にまたがる構造)や特殊な形状の部品など、特定の形状では3Dプリント時にサポート構造が必要になる。このようなサポートを取り除くと、加工時間の長さ、コストの高さ、寸法の不正確さ、表面品質の低さといった問題を引き起こす可能性がある。さらに、サポートを除去する際にマイクロクラックが発生することが多く、内部サポートの除去は、開口率が低く複雑な形状のカスタム設計構造では必ずしも実用的ではない。しかし、この新しいプロセスでは、複雑な形状と特性を持つセラミック構造体をサポートなしで3Dプリントすることができるだけでなく、後処理と3Dプリント時間を短縮し、より高いスループットと製造精度を向上させ、材料消費量も削減するとしている。

異なるサイズ(0.41、0.60、0.84、1.25、2.45、3.50 mm)をNIRを利用してその場で硬化

研究チームはこの技術を用いて、直径0.41mmから3.5mmまでのマルチスケールフィラメントを、最大41mm/秒の速度でほぼ瞬時に固化させることに成功。このプロジェクトにおいて、ねじりバネやカンチレバーなど、サポートのない様々なセラミック構造体を3Dプリントした。
研究チームはまた、UV光よりもNIR光の方が硬化深度が劇的に向上することも実証している。例えば、セラミックスラリーの硬化深度を試験したところ、UV光では約2分で硬化深度1.02mmに達したが、NIR光ではわずか3秒の照射で硬化深度3.81mmに達した。

この新しい技術は、機械、エレクトロニクス、エネルギー、航空宇宙、生物医学など、多くの主要産業で利用できる可能性を秘めている。実際、この研究で使用された機能性セラミックスは、構造安定性、耐食性、耐高温性など、数々の優れた機械的特性を備えている。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けする「Newsletter 3DP id.arts」への登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る