千枚の画像を完成後から逆向きに解析し、コンクリート3Dプリンターの変形と硬化履歴を高精度に可視化する新手法
米国ローワン大学の研究チームは、コンクリート3Dプリンターで造形した構造物の変形履歴を、完成後の画像から逆向きにたどる新たな解析手法を開発。積層中のひずみや硬化の様子を把握し、造形失敗の低減や将来の自律施工につなげることが目的だ。

建設用3Dプリンターは、型枠を使わずコンクリートを一層ずつ積み重ねて壁や構造物を造形できる一方、下層は硬化する前から上層の重さを受けるため、変形やひび割れ、最悪の場合は施工途中での崩壊につながることがある。そこで研究チームは、材料表面の動きを画像から追跡する「デジタル画像相関法(DIC)」を逆向きに利用した。
DICは実験力学で長く使われてきた非接触の計測法で、通常は表面に模様を付け、最初の状態を基準画像として変化を追う。しかし、3Dプリンターでは構造物そのものが造形中に増えていくため、完成形の基準画像を最初に用意できない。
新手法では、造形と硬化の過程で撮影した数千枚の画像を完成後から時間をさかのぼるように解析し、コンクリート表面に自然に生じる凹凸を目印として、各層の変位やひずみを再構成。人工的な模様を追加せず、造形面そのものを追跡に利用できる点も特徴だ。

研究ではまず6061アルミニウム合金の引張試験で従来法との整合性を検証し、その後コンクリートの積層造形へ応用。温度や湿度、材料の化学組成による硬化挙動も品質に影響するため、こうしたデータを蓄積できれば、造形条件の最適化や不具合原因の特定に役立つ可能性がある。
現時点では完成後の画像を用いた解析が中心で、リアルタイム自動制御そのものを実現した技術ではないが、将来的には3Dプリンターが施工中の状態を判断しながら造形条件を調整する自律施工や、金属・樹脂を含む他の積層造形工程の品質管理への展開も期待される。
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