泥・氷・破片に強いエアレス構造を3Dプリンターで実現、ウクライナの無人地上車で実戦試験を完了し量産へ
大型3Dプリンターによる無人地上車(UGV)向け部品の開発を手掛けるウクライナの企業 Print&Live UA と、大規模造形を専門とする3Dプリンティング企業 iSCALE3D は、戦地で使われる無人地上車(UGV)の走破性と継続運用性を高めるため、3Dプリンターで製造した実戦向けエアレスホイール「Arkan」を開発した。

一般的な空気入りタイヤは、前線に散乱する金属片や瓦礫、有刺鉄線などで穴が開くと、空気圧を失ってUGVが走行不能になる恐れがある。車両が危険区域で停止すれば、機体を失うだけでなく、回収や修理のために人員を送り込む必要も生じる。一方、3Dプリンターで造形したエアレスホイールは内部に空気を使用しないためパンクの心配がなく、格子状の構造によって部分的に損傷しても荷重を支え続けられる。これにより、UGVの継続運用性を高めると同時に、前線での整備や回収に伴う人的リスクを減らせる可能性がある。

試験では、第3独立強襲旅のTARGAN 3K 244 EVO 1に装着し、試験場で210kmを走行した後、気温0~マイナス15度の冬季に11回の任務で151kmを走行。計1,825kgの物資を運び、負傷者1人の搬送にも使われたと報告されており、別のRys Proでは湿地や凍結路、他車の牽引を含む高負荷試験でも、剥離や構造亀裂は確認されなかったという。

開発側によれば、3Dプリントされたタイヤ1セットの重量は32~56kgで、比較対象とした海外製エアレス製品より軽く、航続距離を最大30%伸ばせる可能性があるという。価格は1セット約680ユーロで、今後は戦場用途だけでなく、災害対応ロボット、鉱山、農業、物流など、パンクが許されない無人車両への応用も期待される。
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