導電性弾性インクで自立型構造物を3Dプリント

韓国の研究チームがあらゆる方向に自立した構造をプリントできる導電性弾性インクを開発

韓国ソウルの学際的な研究機関である韓国科学技術研究院(KIST)の研究チームは、あらゆる方向に自立した構造をプリントできる導電性弾性インクを開発。この新しいインクは、エマルジョンシステムを使用して所望の印刷フローメカニクスを実現しており、ストレッチャブルおよびウェアラブルエレクトロニクス分野で多くのイノベーションをもたらすことが期待されている。

これまでは、インクの流動性がプリント直後にその重量を支えられないため、プリントは2D平面に限定されていた。しかし、自立した構造をプリントでき、人体の動きに合わせて柔軟に動く素材があれば、ウェアラブルデバイスの忠実性を最大化し、個々の利用者の形態に合わせた複雑な回路を実現することが可能となる。この課題に対応するためKISTの研究チームは、インクの流動性を操作し、弾性導体を全方向にプリントする方法を発見。具体的には、導電性エラストマー複合体銀、多層カーボンナノチューブ、ポリジメチルシロキサン、PDMS)、非混和性溶媒(ジエチレングリコール、DEG)、乳化剤(クロロホルム、CHCl3)を含むエマルジョンシステムを用いて、充填材が分散液中に沈殿するのを防ぎ、擬似的な塑性と潤滑性を与えることで、ノズルの詰まりを防ぎ、安定したプリントを可能にした。

結果として、このエマルジョンインクは最小機能サイズが100μm未満、最大機能サイズが数ミリメートルという性能を達成し、最大150%の伸縮性と優れた電気伝導性を実現。
この新しい技術により、様々な3D配線パターンをプリントすることが可能となり、新たなエマルジョン導電性インクを使用して、皮膚に取り付け可能な温度センサーを製作し、その効果を実証した。このセンサーは周囲の空気の温度を容易に読み取り、研究者が初めてデバイスに触れると25°Cから32°Cに、そして温かいグラスが近づけられると33°Cから42°Cに変化する様子が視覚化された。

この技術がどのように実装されるかは今後の展開次第だが、電子機器が人体とより容易で効率的に接続するのをサポートすることができれば、この分野は正しい方向へ進化すると考えら、この新たな発見によりウェアラブルと伸縮性電子機器の領域での革新が期待される。


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