- 2024-9-2
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シカゴ市、グロック社を提訴 – 3Dプリント技術を悪用した違法銃改造問題で訴訟を拡大
米国イリノイ州の都市シカゴ市は、オーストリアの武器・軍用品製造メーカー Glock Ges.m.b.H.(以下 グロック)および地元の銃販売店である Eagle Sports Range(イーグル・スポーツ・レンジ)と Midwest Sporting Goods(ミッドウェスト・スポーティング・グッズ)に対し、3Dプリント技術を用いた違法銃改造に関する訴訟を拡大した。
この訴訟の核心には、3Dプリンタで改造された「グロック・スイッチ」と呼ばれる装置によって、半自動拳銃を全自動の機関銃に改造することが可能になったことによる違法改造の急増がある。シカゴ市は、グロックがこの改造を容易にする製品を提供し、結果として違法改造された銃による犯罪を助長していると主張。また、銃販売店も、これらの改造が容易であることを認識しながらグロックのピストルを販売していると非難している。
グロック・スイッチで改造されたグロック製拳銃/ロイター
訴状によると、2021年から2024年5月にかけて、改造されたグロック製拳銃1,300丁以上がシカゴ警察によって押収されており、1日平均1丁以上のペースで発見されている。
この「グロック・スイッチ」を使用した改造銃は、1分間で最大1,200発を発射することができ、これは米軍が使用する標準的なM4機関銃よりも速い発射速度となる。法執行機関によると、十代の若者たちの中には、フルオートマチック拳銃をステータスシンボルとして捉えている事が原因としている。
グロック・スイッチには、半自動と全自動を切り替え可能なセレクターが装備さている
シカゴ市は、グロック社は長年この問題を認識していたにも関わらず、こうした改造を防止するための設計変更を行わなかっただけでなく、簡単に改造できる銃の販売で利益を上げ続けていると訴状に記載。また、この訴訟における主な論点のひとつとして、Smith & Wesson(スミス&ウェッソン)やSig Sauer(シグ・ザウエル)などの他社の拳銃を改造するには、時間のかかる専門的な技術が必要であるのに対し、グロック社製拳銃の改造は比較的簡単であるという点にある。
セミオートマチック銃をフルオートマチック銃に変えることができる装置は、3Dプリンティング技術を使って製造されることが多く、改造方法を解説する動画も多数存在する。また、3Dプリンタで製造された部品以外の物も50ドルほどでオンラインから購入できることからシカゴ市は「3Dプリンタによるこれらの部品製造が容易であることが、犯罪市場での拡散を助長している」として、当局による違法改造銃の取り締まりや追跡が困難になっていると主張している。
この訴訟では、改造されたグロックがシカゴ全域で凶悪犯罪に使用された事件についても詳しく説明されており、その中には住宅街での発砲事件やギャング関連の抗争事件などが含まれている。また、これらの改造銃の多くが未成年者の手に渡っていることも強調。 被告の1社であるイーグル・スポーツ・レンジは、改造グロックを「フルオート体験」の一部として販売したり、屋内射撃場でレンタル品の発砲を許可していたとして、厳しく非難されている。この販売店は、複数の違反行為により、Alcohol, Tobacco, Firearms, and Explosives(アルコール・タバコ・火器及び爆発物局/ATF)から銃器販売免許を取り消されたにも関わらず、所有者の親族が経営する新たな事業体として営業を継続しているという。
シカゴ市はグロック社に対し、簡単に改造できる拳銃の販売を中止し、これらの銃器の危険性について誤解を招くような行為を止めるよう求めている。また同市は、グロック社とそのパートナー企業が法律違反を続ける限り、日数に応じた罰金を科すようにも働きかけている。
この訴訟は、シカゴ市で増加する銃犯罪に対処するための取り組みの一環であり、銃規制、銃器メーカーの責任、そして武器の改造における3Dプリント技術の使用に関する議論に着目した案件として大きな関心を集めている。
この訴訟は、銃業界にとって大きな法的挑戦であるが、合法的な目的や娯楽目的で3Dプリント技術を使用しているユーザーに対しても厳しい目が向けられる可能性がある。
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