ワイヤレスホットエンドとノズル交換機構で多素材・多色印刷を根本刷新するBambu Lab「H2C」
デスクトップ3Dプリンタ市場を席捲する3Dプリンター大手 Bambu Lab は、2025年11月18日からドイツ・フランクフルトで開催される「Formnext 2025」展示会にて、最新の3Dプリンター「H2C」を正式発表する。

これまでの発表から推測される新機能・技術的特徴
1. ワイヤレス式ホットエンド/ノズル交換システム
公式ブログでは、H2Cのホットエンドに「ワイヤレス電力供給と温度通信」を搭載した新設計を採用したと説。これは、従来の配線・ポゴピンを廃し、内部にマイクロ回路を組み込んだユニット構造となっている。
- ホットエンド構成は「ノズル/ヒートブレイク/サーミスタ/PCB」の4部品に集約
- 重量は約10g、サイズは20×15×56mmという極めて小型なモジュール
- ノズル交換が頻発する多素材運用において、機械的接点の劣化を防ぐ設計思想と考えられる
- ワイヤレス化によって交換後の立ち上がりも高速化し、切り替えロスを最小化する狙いがあると推測できる
この構造は単なる「交換のしやすさ」に留まらず、多素材プリントの実用性そのものを向上させる可能性が高い。
2. “ノズルチェンジャー方式”による廃材ゼロの多素材プリント
従来の多色プリントには、色切り替え時に前色を排出する必要があり廃材が発生する。排出のための時間ロスが大きい。多色化するほど材料の無駄が増える。といった課題があったが、一部の海外メディアよると、H2Cは最大7色/7素材対応であり、ノズルそのものを物理的に交換する方式によって「プルージ(残色排出)不要」を実現すると報じられている。
H2Cではノズル単位で素材・色を専有できるため、これらの問題を原理的に解消できるだけでなく、誘導加熱方式により8秒で昇温するとの報道もあり、ノズル交換後の印刷再開までの時間は従来より大幅に短縮される可能性がある。
3. 既存H2シリーズからのアップグレード対応
公式ブログによると、H2CはH2Dからのアップグレードが「可能である」とされている。ただし技術的ハードルは高く、「H2Sからのアップグレードも技術的には可能であるが推奨しない」と明記されている。
4. ビルドボリュームや構成の強化(推測)
公式仕様はまだ明確にされていないが、複数の分析・リーク情報から以下の推測が可能であり、多ノズル化と高速印刷を同時に成立させる点は、他社に対する大きな差別化要素となる。
- ビルドボリュームは 約330×320×325mm と推測
- 左ノズル固定+右ノズル交換6本=最大7ノズル構成という情報が有力
- 多素材機構を搭載しながらも、H2シリーズの高速・安定性を継承する設計と予想される
5. 材料ロス低減・環境配慮・コスト削減
プルージ不要の仕組みは、以下の面で顧客メリットが大きいが、一方で、新機構に伴う“ノズルモジュールの価格”や“交換頻度”など、ランニングコストの観点には課題が残る可能性もある。
- 廃材発生が著しく減少する
- 材料コストが下がる
- 材料変更のための時間ロスが減る
- 環境負荷の低減につながる
H2Cは、Bambu Labが多素材・多色プリントにおける次の標準を提示するモデルとなり得る可能性を秘めている。ワイヤレスホットエンドや物理ノズル交換機構は、既存の多素材3Dプリンターが抱えてきた根本課題に対して直接的な解決策を提示する設計であり、業界全体の技術トレンドにも影響を与える可能性が高い。一方で、耐久性・ランニングコスト・AMSとの連携など実運用の検証項目は多く、正式発表後の実機レビューが判断の鍵になるだろう。
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