- 2017-2-10
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IDCは3Dプリント技術を採用した欧州の航空宇宙・医療企業を対象とした最近の調査結果を発表
IT関連を中心とした調査会社IDC(インターナショナル・データ・コーポレーション)は、ワークフローに3Dプリント技術を採用した、フランス、ドイツ、イタリア、イギリスの航空宇宙及び医療関連企業を対象とした3Dプリンタに関する調査結果を発表した。
現在の航空宇宙産業、医療業界では金属ベースのSLS方式やポリマーベースのFDM方式を組み合わせた3Dプリンティング技術が活用されており、航空機エンジンの部品、機内用内装部品、医療機器コンポーネントや人工関節などのカスタマイズ部品製造に利用されている。
また、3Dプリント技術は、既存の製造プロセスの代替と位置付けられるだけでなく、従来の製造方法では実現が困難な全く新しい部品を作成することもでき、より複雑な構造の部品を小ロット&短納期で制作できるなどのメリットを含んでいる。
しかしその一方で、多くの企業では3Dプリント技術に対する様々な課題についても言及している。
材料
現時点では、3Dプリンタ材料として活用できる素材には限りがあり、航空宇宙産業や医療業界では、強度、耐久性、その他の多くの特性について、業界の要件を満たしていない場合も多い。金属3Dプリンタユーザーの多くは、幅広い金属合金材料への対応を必要としており、現在の材料価格が高額過ぎるという不満を抱えている。
ハードウェア
実製品の製造を想定し、産業ベースで3Dプリンターを利用するユーザーは、生産を加速するため、より速くより大きなデバイスの必要性を示している。これと同時に多くのユーザーは、ハードに対する信頼性とメンテナンス性の向上についても言及している。
知識
3Dプリンタを導入する企業の多くは、社内に3Dプリンタの利用に特化した(必要な知識を有した)専任の技術者などを抱えていないため、限られた内部スタッフと外部(ベンダー)からのサポートを必要としている状況である。
この問題を解決のためには、知識を有する外部組織によるコンサルティングやスタッフトレーニングなどのサービス拡充も必要となる。
ソリューションの欠如
多くの企業は、ハードウェアおよび材料を供給するベンダーが、航空宇宙や医療業界など業界固有の製造ニーズに対する知識と理解を欠いると感じている。この課題を克服するため、ベンダーとユーザーは連携し業界固有のソリューションを開発する緊密な関係を構築する必要があるとしている。
企業コンプライアンス
航空宇宙、医療産業特有の規制により、技術導入が遅れる要因となっていることが否めない。
IDCは、3Dプリント技術が近年大きな進展を遂げている一方で、多くの課題にも直面していると語っている。
デバイスの速度、信頼性、材料特性など、これらの課題の中には技術の進歩に時間の掛かるものもある。しかし、知識の欠如、業界固有のソリューションの欠如などの課題は、ベンダーとユーザーの努力によって改善される部分もあるため、ベンダーは積極的に顧客をサポートし、3Dプリンタの導入を促進するため業界全体で共同作業を行う必要があるとしている。
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