3Dプリント技術を活用した肺組織モデルで有害ガスの影響を解明
米国国土安全保障省(DHS)の科学技術局(S&T)は、化学物質の安全性分析センター(CSAC)およびウェイクフォレスト再生医療研究所(WFIRM)と共同で、3Dプリント技術を用いて人間の肺細胞と組織をマイクロチップ上に再現し、有害な化学物質の影響を詳細に分析する研究を進めている。
アンモニアや塩素などの化学物質は、特に港湾や工場の労働者にとって極めて危険であり、米国内で最も多く輸送される化学物質の一つであるため、事故による放出や意図的な使用が重大な脅威となる。事故発生時に初動対応した者は、こうした事態の収束時に大きな危険に直面し、曝露は即時的または長期的なリスクをもたらす可能性がある。S&Tは、これらの危険性を理解し、軽減することで公共の安全を守ることを目指している。
WFIRMのプロジェクト共同リーダーであるショーン・マーフィー博士は「マイクロチップ全体のサイズは1×2インチ、あるいはそれ以下です。透過性の膜内に新しいOTEがあり、実際の肺のように内部には空気が通る微細な管があります。これらの小管は約60ミクロン、つまり人間の髪の毛の太さ程度です。有毒な化学蒸気を含む空気をこれらの管に通すことで、人がその蒸気を吸い込んだ状況をシミュレートします。その際、毒素が管内の細胞と相互作用します」と述べている。
研究者は、3Dプリントした肺組織モデル(OTE)を特定の濃度の有毒物質に曝露し、損傷パターンを分析。これにより、物質の特定と曝露レベルの把握が可能となり、迅速な医療対応や地域社会の健康保護に役立つとしている。CTCプロジェクトマネージャーのテレサ・ペニントン氏は、この研究が有毒物質への曝露の有無や影響を判断し、医療スタッフが最適な治療法を選択する際の支援になると述べている。
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