鋳造・工業生産向けに開発された次世代大型3Dプリンター「VX7000」
ドイツの産業用3Dプリンターメーカー voxeljet GmbH は、鋳造や工業生産向けの超大型3Dプリンター「VX7000」を開発した。本装置は、大量生産と顧客別仕様への対応を目的に設計され、7m級の造形領域と高い稼働率を両立する次世代3Dプリント技術を採用している。

VX7000は、約7,000×7,000×1,000mmという極めて大きな造形領域を持つ産業用3Dプリンターであり、1回の造形工程で60トンを超える砂材料を処理できる点が最大の特徴である。これにより、従来は複数部品に分割して製作していた大型鋳型や砂型を一体で出力することが可能となり、組立工程の削減や精度低下の抑制といったメリットが生まれる。こうした大型一体造形は、鋳造分野における生産効率向上と品質安定に直結する要素であり、工業用途における3Dプリント技術の実用性を大きく押し上げる。
本システムは、voxeljet GmbH がGEとの共同開発で手がけたVX9000で得られた知見を基に設計されている。VX9000では全長9.5mに及ぶ鋳造用砂型の出力が実現されており、その実績を踏まえ、VX7000では量産対応を前提とした構造設計、精度の向上、材料使用効率の最適化が進められた。単なるサイズ拡大にとどまらず、工業生産に耐えうる信頼性と再現性を備えた点が大きな進化といえる。

VX7000の設計で特徴的なのが、造形ステージを固定し、プリントヘッド側が上方向に移動する「逆転構造」を採用している点である。一般的な3Dプリンターとは異なるこの方式により、極めて広い造形面積においても表面品質を均一に保つことが可能となり、顧客の要望に応じて造形高さや長さを変更する場合でも、基本構造を変えることなく対応できる柔軟性が確保されている。これは、受注生産や多品種少量生産にも対応しやすい設計思想といえる。
造形性能の面では、幅1mのプリントヘッドを4基搭載し、合計で28,000個以上のノズルを用いて高速に造形を行う構成となっている。標準仕様でも1層あたり100秒未満という短時間での造形が可能であり、生産量や投資計画に応じてプリントヘッドの増減を行える拡張性も備える。さらに、中央集約型のバインダー供給システムを採用することで、ノズルごとの吐出ばらつきを抑え、安定した品質を維持している。

材料管理においても、VX7000は工業用途を強く意識した設計がなされている。砂材料は密閉された循環システム内で管理され、新材、再生材、活性化処理された砂を工業用ミキサーで均一に混合したうえで供給される。この仕組みにより、長時間の連続稼働でも層ごとの品質が安定し、大型造形や高密度造形においてもトラブルを起こしにくい環境が整えられている。
加えて、稼働率を重視した設計もVX7000の重要なポイントである。プリントヘッドや材料供給部にはモジュール化された清掃・メンテナンス機構が組み込まれており、一部のユニットに点検や整備が必要な場合でも、装置全体を停止させずに対応できる。パージ工程で排出されたバインダーを回収・再利用する仕組みも備えており、材料ロスの削減と運用コスト低減にも貢献している。
関連記事
3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp








