超リアルなフルカラー3Dプリント技術

従来のカラー3Dプリント技術を凌駕するフルカラーインクジェット3Dプリントアルゴリズム

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サブサーフェイス・スキャタリングによるレンダリングの様な質感の3Dプリントモデル(クリックで拡大)

以前ご紹介したディズニーリサーチによるカラープリント技術のように、現在のフルカラー3Dプリント技術のベースとなるのは、旧来からの粉末石膏系のカラープリンター技術を応用した物が中心でしたが、2013年以降、Stratasys Objet Connex 3や、3D Systems Projet4500のような樹脂系のマルチカラー技術が登場し、新たなカラープリント技術の研究が盛んになってきています。
しかし、Stratasys Objet500 Connex 3によるインクジェットカラーのように、現時点では完全なフルカラーとはまったく異なる再現に留まっており、まだまだ研究段階である部分が否めません。

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Stratasys Objet500 Connex 3

そんな中発表されたこのフルカラープリントアルゴリズムは、従来のカラー3Dプリント技術を凌駕するような、素晴らしい再現性のフルカラー3Dプリント技術です。

ドイツのフラウンホーファー研究機構の研究チームによって開発されたこのフルカラーアルゴリズムは、3次元データのシェイプや色を1㎤当たり約1800万滴のボクセル(単一のインクジェット液滴によって表現される3次元ピクセル)に分割し、スライスを生成。
カラーマネジメント時に抽出された内部の階調値をベースに色の再現性を追求。レイヤー毎に紫外線光によって瞬時に硬化する際、高密度のボクセルによる忠実な色の再現を実現するためには、最適な状態で光を透過するための透過率の準備が必要であり、それに適した拡散方向を指示する半透明性が重要となっているようです。研究者たちは、この透明度に関する問題を解決するため、誤差拡散アルゴリズムによる転送を可能にする技術を構築。内部から外層に最適なシェーディングを適用し、ボクセルを拡散します。

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透過性の再現

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見事なカラーと質感(クリックで拡大)

CGレンダリングのような質感は、この半透明性による影響かもしれませんが、肌の質感などもかなりリアルに迫っています。

とても難しいアルゴリズムのため、筆者の解釈が誤っている可能性があるかもしれません。原文論文はこちらから確認できるため、興味ある方は是非ダウンロードしてご覧になってみてください。

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左:3DCGレンダリング、中:3Dプリントモデル、右:プリントモデルのズーム(クリックで拡大)

こういったフルカラー技術がより進化すると、様々な事故や障害によって身体の一部を失った方などへの義肢や皮膚など、医療分野にも大きな可能性を秘めているのではないでしょうか?


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