パデュー大学、フィラメントにセンサー粒子を付加

パデュー大学の研究チームは3Dプリンタ用フィラメントにセンサー粒子を添加する新しい湿式混合法を開発

米国インディアナ州の州立総合大学であるパデュー大学のエンジニアリング技術学部および工学部航空宇宙学科の研究者等は、3Dプリント用材料であるフィラメントポリマーに、導電性粒子を導入する新しい湿式混合方法(特許出願中)を開発。この研究で、完全3Dプリントによる柔軟なポリフッ化ビニリデン(PVdF)容量性温度センサーの実現可能性を実証している。

従来の3Dプリンティングでは、センシング機能を持たないパーツを造り評価するためには、プリント後にセンサーを追加する必要がある。しかしこの方法では、導電性粒子をフィラメントの一部として内在させ従来のFDM3Dプリンタで均一に分散させることで、プリントされた部品にセンシング機能を含めることができる。粒子は顕微鏡で見ないと確認できないほど小さいため、センサーを内蔵した際に犠牲になる強度を犠牲にせず、プリント部品自体の強度を維持することができる。また、優れた均一性で導電性のある材料を作製し、3Dプリント部品とセンサー設計を用途に応じて調整が可能なため、電気的・機械的特性に最適化されたセンサーや部品を造ることができる。

image : Purdue University

このセンサーは、FDM方式でプリントされたPVdFフィルム(厚さ約180~280μm)を誘電体として用い、平行に配置した2つのDIW(Direct Ink Writing)プリント銀電極(デバイス全体の厚さ約200~380μm)に挟み込んた構成で、ノズルの動きは、溶融PVdFフィラメントへの機械的な引き込みを容易にし、β相含有量(センサーの感度に重要)を増加させるのに必要な条件とされているプリントパラメータを最適化した結果、ノズル温度200 °C、印刷速度70 mm s-1でプリントした場合に最高のβ相含有率(21.30%)を達成することができた。

PVdFベースの温度センサーハイブリッド3Dプリントプロセスの概略図

本研究では、室温(25 ℃)から140 ℃までの加熱・冷却サイクルを適用し、異なる温度下で周波数の関数として静電容量を測定することにより、温度センサーとしてのデバイスの応用を実証している。このセンサーは、102 Hz以上の周波数で3 pF ℃-1の安定した感度を示し、コロナポーリング法によって誘電体分極した後、102 Hz以上の周波数で感度が改善された。

3DプリントされたPVdFフィルム上面の一部にプリントした銀電極の光学顕微鏡画像

研究チームによれば、この新しい湿式混合プロセスは他の特性を有する粒子を加えて拡張することが可能なため、電磁場用の磁性粒子、蛍光粒子、その他の機能性を追加することができると伝えている。


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