Bambu Labの新アップデートをOrca Slicerが拒絶、セキュリティ重視とオープンソース思想の対立を激化させる
中国の3Dプリンタメーカー Bambu Lab が最近実施したファームウェアの更新は、不正アクセスやサイバー攻撃、ネットワークの脆弱性を防ぐための認証・認可機能の強化を目的に、外部ソフトウェアとの連携を維持するための独自ツール「Bambu Connect」を提供することを発表したが、3Dプリント技術の分野で広く利用されるサードパーティ製スライシングツール「Orca Slicer」は、今回の新しいBambu Connectに対応しないことを決定した。
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この決定は、以前Bambu LabがOrca Slicerとの連携を謳っていた発言と矛盾するものであり、業界内に大きな波紋を呼んでいる。実際、一部のユーザー向け情報サイトでは、不要な制限を理由に今回のアップデートのインストールを控えるよう助言している。これにより、セキュリティの強化を図る一方で、オープンソースを重視する多くの3Dプリント愛好者からは、ユーザーの自由度が損なわれるとの懸念が高まっている。
Discordへの投稿内容
Bambu Labのファームウェア更新は、3Dプリント技術の進化において重要な局面を示している。高度な認証・認可システムの導入は、プリンタの安全性を確保するためには必要な措置であるが、一方で従来のオープンな技術環境との相克を生む結果となった。業界内では、データの管理やプリンタ機能の自由な拡張が、3Dプリント技術の革新を支える重要な要素であるとの意見が根強く、今回の対応が将来的な制限の先例となるのではないかとの懸念が示されている。
また、Bambu LabはX1シリーズプリンターにおいて、サードパーティ製の改造ファームウェアのインストールを制限する動きを見せていた。その後、オプションとして「ワンウェイチケット」制度を導入し、外部改造を認めつつも保証やサポートの対象外とする対応を行ってきた。今回の更新においても、古いファームウェアでの利用継続は可能とされるが、Orca Slicerの非対応という事実は、ユーザーに対して透明性や長期的な運用方針について疑問を抱かせるに至っている。
本件は、3Dプリント技術の安全性とオープンソースの自由度とのバランスを問う重要な転換点である。Bambu Labは、自社ブログにおいて「不幸な誤情報」に対して反論し、デベロッパーモードによるローカルエリアネットワーク(LAN)でのプリント機能を維持しつつ、クラウドセキュリティを確保するとの立場を明確にしている。しかし、業界内外の専門家からは、将来的なサードパーティ製ソフトウェアの利用制限や、3Dプリント技術におけるデータ管理の在り方について、依然として厳しい視線が向けられている。
今回の動向は、3Dプリント市場における技術革新とセキュリティ対策の両立、さらにはオープンソース精神の継続的な支持というテーマに直結している。今後、Bambu Labがどのような方針変更を行い、業界全体がどのようにこの変革に対応していくのか、その動向から目が離せない状況である。
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