3Dプリンターで衛星を小型・軽量化、三菱電機とSWISSto12が日本とAPAC市場で新たな宇宙事業を検討
スイスの宇宙技術企業 SWISSto12 と三菱電機は、衛星通信の高性能化と開発期間短縮を目的に、3Dプリンターを活用した小型・軽量の衛星ペイロードやRF製品で戦略的協業を検討する覚書を締結した。
プレスリリース

衛星の「ペイロード」とは、通信や観測など、その衛星が担う仕事に必要な機器の総称で、通信衛星ではアンテナやフィルター、信号処理装置などが中心となり、性能だけでなく重量や大きさも打ち上げコストや運用効率を左右する。SWISSto12は、従来の切削や組み立てでは作りにくかった複雑な内部構造を積層造形で一体化する技術を強みとしており、アンテナ、導波管、フィルターなどのRF部品を小型・軽量化しながら高性能化できるとしている。実際に同社の3DプリントRF製品は2,000点以上がすでに軌道上で使用されており、実証段階を越えて商用利用が進んでいる。
SWISSto12は過去にも、フィルターや偏波器、ホーンアンテナ、機械的な接続部などを一つの部品として造形した衛星用RF機器を実用化しており、従来製法では難しかった部品統合を進めてきた。

今回の協業では、三菱電機が持つ大型衛星バス、フルデジタル通信ペイロード、衛星システムの統合技術と、SWISSto12の小型静止衛星バスや3Dプリンターによる部品製造技術を組み合わせ、大型から小型まで幅広い通信衛星への対応を検討する。静止衛星は地上約3万6,000kmの軌道から広い地域へ安定した通信を提供できるため、通信インフラや災害対応、安全保障など幅広い用途で重要性が高い。
さらに三菱電機は別契約として、日本政府の静止軌道向け安全保障通信プログラム用フェーズドアレイアンテナをSWISSto12へ発注している。SWISSto12は2011年からRF分野への積層造形適用を進め、近年はMetalFabG2金属3Dプリンターを導入して生産能力も拡大している。一方、今回の対象製品に使われる具体的な3Dプリンター材料は公表されていない。

宇宙機器では軽量化、短納期、部品点数削減、個別設計への柔軟な対応が求められるため、3Dプリンターによる製造は従来工法を補完する有力な選択肢になりつつある。今回の提携は、3Dプリンターによる衛星部品製造を日本の宇宙産業へ本格的に取り込む動きとして注目される。
関連記事
- 東レとJAXA、宇宙3Dプリンター技術の開発を本格始動
- 中国の航空宇宙3Dプリント戦略
- 中国が軌道上で金属プリントに成功
- ISSで腎臓と肝臓の3Dプリントに成功
- 3Dプリントで実現した実寸大・可動式エンジン模型
3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp








