Bambu Lab、最大30万ドルの基金を創設

Bambu Labが世界のメイカーを対象に資金と技術と発信を一体で支援する新制度を開始

デスクトップ3Dプリンター市場を席捲する中国発の3Dプリンターメーカー Bambu Lab は、世界中のクリエイターやメイカーを支援することを目的に、新たな助成制度「Let’s Make It Fund」を開始した。本制度は、3Dプリンターや3Dプリント技術を活用した革新的なアイデアを対象に、最大30万ドルの資金支援に加え、技術サポートやプロモーション支援までを一体で提供する点が特長である。

Let’s Make It Fundは、「不可能を可能にする」着想を持つすべての人に門戸を開いたプログラムであり、応募に締切はなく、学歴や職歴、所属組織の有無も問われない。さらに、Bambu Lab製の3Dプリンターを所有していなくても応募可能であり、特定の設備や環境に縛られない点が従来の支援制度とは大きく異なる。評価の軸は、アイデアの独創性、社会や教育に対する前向きな影響、そして現実的に実行可能かどうかという三つの観点である。生活の質を向上させる製品や仕組み、学習機会を広げる教育用途、社会課題の解決につながる取り組みなど、3Dプリント技術によって具体的な価値を生み出す構想が重視される。

採択されたプロジェクトには、数千ドル規模から最大30万ドルまでの助成金が提供され、影響範囲や規模が大きい場合には、さらに高額な支援が検討される可能性もある。加えて、資金提供にとどまらず、設計や製造に関する技術的な助言、3Dプリンターを活用した試作や改良の支援、完成した成果を広く発信するためのプロモーション支援も用意されている。これにより、単なるアイデア段階で終わることなく、実際の製品化や社会実装までを見据えた取り組みが可能となる。
本制度では、支援を受けたクリエイターが制作過程や試行錯誤の内容を記録し、コミュニティと共有することも推奨されている。成功事例だけでなく、失敗や改善のプロセスを公開することで、他のメイカーにとっての学びや刺激となり、3Dプリント技術全体の底上げにつながるという考え方だ。これは、Bambu LabがX1シリーズの初期展開時に、ユーザーが単なる購入者ではなく、製品や思想を共に育てる存在へと成長した経験に基づいている。

こうした動きはBambu Labに限ったものではない。3Dプリンター業界全体でも、クリエイター支援の取り組みが広がりつつある。例えば、深圳を拠点とするElegooは、オープンソースの3Dモデル共有プラットフォーム「Nexprint」を立ち上げ、複数のスライサーやプリンター環境に対応したデータを誰でも簡単に利用できる仕組みを整えている。投稿者はポイント制度やコンテストを通じて評価を得ることができ、資金支援型のBambu Labとは異なるアプローチながら、3Dプリント技術をより多くの人に開放するという点で共通している。

3Dプリンターは試作や趣味の道具という印象が強かったが、今では教育や医療、建築、製造業など、さまざまな分野で使われるようになってきた。Let’s Make It Fundのような取り組みは、技術そのものではなく、それを使う「人」に光を当てることを目的とした支援だ。高価な設備や大きな組織がなくても、発想と行動力さえあれば世界に挑戦できる時代が少しずつ整いつつあり、その中から次の3Dプリント技術のブレークスルーが生まれる可能性は十分にある。


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