3Dプリントの速度と精度を飛躍的に向上するホログラフィックTVAM技術「HoloVAM」
スイスのEPFL応用フォトニックデバイス研究所とデンマーク南部大学のフォトニクス工学センターに所属する研究者等のチームは、従来のトモグラフィック・ボリュメトリック・アディティブ・マニュファクチャリング(Tomographic Volumetric Additive Manufacturing 以下 TVAM)を改良し、3Dプリントの時間を数秒に短縮するとともに、効率を大幅に向上させる新たなホログラフィック3Dプリント手法「HoloVAM」を開発した。
TVAMは、従来の層ごとに積み重ねる3Dプリント手法とは異なり、液体樹脂に光パターンを照射し、強度が十分な光が当たった部分を硬化させることで、全体のオブジェクトを一度に作成する。この方法は、サポートなしでマイクロスケールの部品を数十秒で製造できるが、エンコードされた光の1%未満しか樹脂に到達しないため、非常に非効率的であり、光のぼやけや投影のアーティファクトにより歪みや解像度の低下が生じる問題もあった。
研究チームはこれらの課題を克服するため、従来のボリュメトリックな光投影の代わりに3Dホログラムを使用する新技術「HoloVAM」を開発した。新たに開発されたこのアプローチにより、光の効率が20倍向上し、より高速で高精度な3Dプリントが可能となった。発表された論文によれば、HoloVAMは31マイクロメートルという微細なディテールを持つ数ミリメートルサイズのオブジェクトを、僅か60秒以内で製造することに成功したという。
TPOを光開始剤として使用したフォトレジストとTEMPOを使用したBenchyボートの写真
より高速で高精度な製造が可能なHoloVAMは、自己修復ビームを使用しており、これが材料を通過する際に形状を維持できるため、細胞を含むバイオ樹脂やハイドロゲルを用いた3Dプリントにおいて特に有効と考えらており、医療用バイオプリンティングへの応用が期待されている。
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