Formlabs、元Appleハードウェア責任者を迎え産業向け3Dプリンター事業の世界展開をさらに加速
米国の3Dプリンターメーカー Formlabs は、産業・プロフェッショナル向け事業のさらなる成長を目的に経営体制を刷新。元Appleハードウェア責任者Dan Riccio氏を戦略アドバイザー兼投資家に迎えるほか、CEOのMaxim Lobovsky氏が取締役会会長に就任した。

Formlabsが経営体制を大幅に刷新
今回の人事で特に注目されるのが、Appleで長年ハードウェア開発を率いたDan Riccio氏の参画である。
Riccio氏はAppleで、iPhone、iPad、Macなど数多くの製品開発を統括してきた人物で、Formlabsでは戦略アドバイザーとして製品開発、設計品質、事業規模の拡大などについて経営陣を支援する。また、単なるアドバイザーではなく、自らFormlabsへ投資することも明らかにされた。

その他の人事として、共同創業者兼CEOのMaxim Lobovsky氏が新たに取締役会会長を兼任し、Chief Product Officerを務めてきたDávid Lakatos氏はPresidentに就任すると同時に取締役会へ加わる。また、共同創業者で約15年間取締役を務めたNatan Linder氏は取締役会会長を退任し、今後は戦略アドバイザーとして同社を支援する。さらに、Amazonで世界規模のサプライチェーンや物流を担当した経験を持つNadia Shouraboura氏がLead Directorを務める。
「試作機」から「製造装置」へと進化する3Dプリンター
今回の人事は、単なる役員交代以上の意味を持つ可能性がある。
かつて3Dプリンターは、製品開発の途中で形状を確認する「試作品」を作る装置として広く普及した。しかし現在では、高性能材料や高速造形技術の進歩により、治具、最終製品、医療・歯科部品、少量生産品などを直接製造する用途へと活用領域が拡大している。
FormlabsもSLA(光造形)方式とSLS(粉末焼結)方式を中心に、3Dプリンター本体だけでなく、材料、ソフトウェア、後処理装置まで含めた製造環境を展開しており、同社によれば、顧客がこれまでに3Dプリントした部品は累計5億点を超え、年間売上高も2億5,000万ドルを突破している。
これは3Dプリント技術が、一部の設計者向けツールから、工場や企業の生産設備へ移行しつつあることを象徴する動きともいえる。

Appleの製品開発ノウハウをデジタル製造へ
Appleが得意としてきたのは、高度な技術を一般ユーザーでも扱いやすい製品へ落とし込むことであるが、Formlabsが目指す方向にも共通点がある。従来、大型で高価だった産業用3Dプリンターの性能を、より導入しやすいサイズや価格、操作環境で提供することで、専門工場だけでなく設計部門や研究施設、医療機関、中小規模の製造現場でも利用できるようにしてきた。
Riccio氏の経験が加わることで、今後は3Dプリンターそのものの性能だけでなく、操作性、製品設計、量産体制、品質管理まで含めた総合的な完成度がさらに重視される可能性がある。
IPOへの布石なのか、業界からも注目
今回の経営体制変更について専門家の間では、Formlabsが将来的なIPO(新規株式公開)やその他の資本戦略に向けて準備を進めている可能性があると分析。投資家向け広報責任者を置いていることや、外部の経営経験者を取締役会に迎えていることなどを、その根拠として挙げている。
ただし、Formlabs自身は現時点でIPOや企業売却を公式には発表していない。したがって、これらはあくまで業界側から見た将来予測として捉える必要がある。
関連記事
- Formlabs、大型SLSシステム「Fuse X1」を発売
- Formlabs、超高速3Dプリント後処理装置「Form Cure(第2世代)」リリース
- Formlabs、大型3Dプリンタ「Form 4L」を発表
- Formlabs、第4世代機「Form 4」を発表
3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら
最新情報をお届けします
Twitter でid.artsをフォローしよう!
Follow @idarts_jp








