- 2025-3-31
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釜山大学が3Dプリント脂肪組織を開発、火傷・糖尿病性潰瘍治療に新たな可能性
3Dプリント技術による再生医療の可能性がさらに広がっている。韓国の国立大学である釜山大学の研究チームは、3Dプリント技術を活用して再生可能な脂肪組織の作製に成功したことを発表した。この成果は、火傷や糖尿病性足潰瘍、褥瘡(じょくそう)といった慢性創傷の治療法に革新をもたらす可能性がある。
脂肪組織は内臓周囲や皮膚下に存在し、皮膚の重要な構成要素である。しかし、従来の再生医療では脂肪の再生は困難とされてきた。同チームは、脱細胞化した細胞外マトリックスとアルギン酸を独自の比率で混合した「ハイブリッドバイオインク」を開発。このインクを使い、直径600μm以下、間隔1000μm以下の最適条件で3Dプリントすることで、生体に近い脂肪組織を形成した。
研究では、培養環境下で脂肪細胞前駆体が正常に分化し、創傷部位での細胞移動と再生を促進することが確認された。さらに、マウスを用いた実験では、皮膚細胞の再上皮化や血管形成が促され、創傷治癒効果が認められた。
現在、火傷や慢性潰瘍に対する治療法は限られており、特に重度の皮膚損傷患者は長期的な治療と痛みを強いられている。今回の3Dプリント脂肪組織は、創傷治療用の長期間使用できるドレッシング材や、将来的な人工皮膚製造への応用が期待される。
世界保健機関(WHO)や米国国立衛生研究所(NIH)によると、年間約1,100万人が重度の火傷を負い、30万人以上が火傷により命を落としている。その多くは発展途上国で発生しており、早急な治療法の開発が求められている。
釜山大学による3Dプリント脂肪組織の開発は、再生医療の分野で大きな前進であり、火傷や慢性創傷といった皮膚損傷の治療において、3Dプリント技術の進化が、世界中の患者に新たな希望をもたらしている。
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