風洞実験用都市模型を3Dプリンタで製作

Bfull、PLATEAUを使用した風洞実験用都市模型を3Dプリンターで製作

光造形のプロフェッショナル Bfull は、国土交通省主導で整備されている3次元都市モデル「PLATEAU」から風洞実験用都市模型を3Dプリンターで製作した。

従来、風洞実験は、アクリル板や木材などを手作業で加工し、実際の街並みを表現した模型が用いられることが多く、建物のディティールや地表の細かな凹凸までは再現することができなかった。Bfullは、3Dプリンターを活用することにより、東京都の3次元都市モデルのデータを1/800スケールで造形。光造形ならではの高精度プリントで、ビル群一つ一つの細かいディティールまで忠実に再現することに成功した。

製作過程

1. 3DCADによるデータ編集
国土交通省主導で整備されている3次元都市モデル「PLATEAU」。その航空測量等に基づき取得したデータから建物等の地物を3次元で生成した都市モデルを、3DCADを使って編集。軽量化のため内部を中空化したり、1/800に縮尺した際、形状再現が困難となる箇所の厚み増しなど、造形時のリスクを考慮しつつ見た目を損なわないようにした。また直径2mとなる地表は、造形できるパーツサイズにとなるようデータ上で12分割されている。

2. VoxelDance Additiveによる造形準備
造形準備ソフトウエア・VoxelDance Additiveを使い、3DCADデータをスライスデータへ変換。その際、造形精度のポテンシャルを引き出すために最適な造形姿勢や配置を設定。またBfullの独自技術である「ウルトラファインサポート」により、パーツとサポート材の接点を極限まで小さくした。それにより、サポート除去や研磨など後処理を50%削減することが可能となった。

3. ZRapid iSLA byBfullによる造形
大型光造形3Dプリンター「ZRapid iSLA byBfull」で建物と地表を造形。800×800×400mmまでプリントできるため、風洞実験用都市模型の中心となる東京都庁も一体で造形。東京都庁は透明材料、地表や周囲の建物は白色材料(ともにABSライク)でプリントした。

4. 造形パーツの洗浄
パーツを「ZRapid iSLA byBfull」から取り出して洗浄。溶剤に浸け、周囲の余分なレジンを取り除く。

5. 仮置きと風速センサー用の穴あけ加工
12分割した地表パーツを仮置きし、分割した地表の嵌合などをチェック。嵌合確認後、風速センサーを通す穴を開けていく。

6. 風洞実験装置への設置
完成したパーツは愛知県一宮市から東京都清瀬市内の風洞実験施設へ輸送。搬入と設置を行った。都庁を中心としたビル群が忠実に再現され、従来工法では実現できないクオリティに仕上がっており、大型光造形3Dプリンターのメリットを存分に活かしたプロジェクトとなった。


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