AIが3Dプリンターの個体差を自動分析

同一機種でも仕上がりが違う原因をAIが診断、造形ミスを減らし自動生産の信頼性向上へ

スペインの材料科学研究センター IMDEA Materials Institute と米国のローレンス・バークレー国立研究所は、同一機種の3Dプリンターに生じる性能差をAIで分析し、装置ごとに最適な調整方法を選ぶ技術を開発した。

同じメーカーが生産した同型モデルの3Dプリンターであれば、基本的に同じ結果が得られると考えられがちであるが、実際には部品のわずかな寸法差、センサーの誤差、組み立て状態、使用環境、経年変化などによって、機械ごとの動きには微妙な違いが生まれる。
この違いは、1回の造形だけでは目立たない場合も多い。ところが、数十台、数百台の3Dプリンターを同時に稼働させる「プリントファーム」のような生産環境では、小さな差が積み重なり、製品重量のずれや寸法誤差、造形不良につながる可能性がある。特に航空宇宙や建築など、高い精度と再現性が求められる分野では無視できない問題となる。

研究チームが開発したのは、こうした装置ごとの違いを単なる不具合ではなく、それぞれの機械が持つ「個性」として分析するアルゴリズムである。
先ず、各3Dプリンターに診断用の造形を行わせ、完成した造形物の重量やばらつきなどを測定。その結果から、AIが装置ごとの性能を示すプロファイルを作成し、機械同士がどの程度似ているかを統計的に判断する。
複数の装置がほぼ同じ動きを示した場合は、共通の条件を使ってまとめて最適化するが、装置間の差が大きい場合は、それぞれに異なる設定を与え、個別に調整する仕組みである。一律の条件を押し付けるのではなく、状況に応じて「チームとして扱うか、個別に扱うか」をAIが選択する点が大きな特徴だ。
個別最適化を適用した場合、すべての装置を同じ条件で調整した時に比べ、適切な設定へ到達するまでの速度が大幅に向上し、造形物の重量誤差も大きく減少したという。ただし、公開された研究機関の発表では、改善率を示す具体的な百分率や重量値までは示されていない。

この技術は、造形ミスによる材料廃棄や再製作の削減にもつながる。多数の装置を人が1台ずつ確認する負担を減らせるため、3Dプリンターを活用した量産だけでなく、夜間や無人環境で稼働する自動工場への応用も期待される。
さらに研究チームは、同様の方法を新材料の探索、化学合成、センサーの校正などにも応用できるとしている。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る