苔や虫と共生する3Dプリント建築

3Dプリント技術で生まれたテラコッタ建材が、環境と共に育つ建築の可能性を示す

建築・デジタルファブリケーションを専門とする建築デザイナーのRameshwari Jonnalagedda氏は、自然と共に成長する建築を目指し、3Dプリンターで造形したテラコッタ製モジュール「Minimal Matter」を発表した。自然界の仕組みを建築へ取り入れる設計思想と3Dプリント技術を組み合わせることで、建物そのものが環境や生き物と共生する新しい建築の可能性を提案している。

「Minimal Matter」は、WASPのクレイ用3Dプリンター「WASP 40100 LDM」を用いて、粘土を積み重ねて造形し、焼き固めたテラコッタ製の建築モジュールで、見た目の美しさだけではなく、建物の壁や柱として使いながら熱をやわらげたり、小さな生き物のすみかになったりすることを目指して設計されている。
このプロジェクトの特徴は、石けん膜や葉脈、細胞膜など自然界に見られる形を設計に取り入れていることで、こうした形は少ない材料でも強度を確保しやすく、空気や光を効率よく取り込めるため、建築にも適している。

一般的な建物は、汚れや植物が付着しないように設計されるが、Minimal Matterは、苔や小さな昆虫が住み着くことも建物の価値の一部として考えており、自然を排除するのではなく、建築と自然が共存する新しい考え方を提案しているのである。
こうした複雑な形状を実現できるのは、3Dプリント技術ならではの強みであり、従来の製造方法では難しい立体構造でも、設計データをそのまま形にできるため、一つひとつ異なる形状の部材を効率よく製作できる。

Minimal Matterは、3Dプリンターが「複雑な形を作る技術」にとどまらず、建築と自然の新しい関係を生み出す技術であることを示した事例と言える。


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