MITが開発した磁気駆動混合システムが3Dプリンターの細胞沈降問題を根本から解決
マサチューセッツ工科大学(以下 MIT)の研究チームは、3Dプリンターによる生体組織製造の精度向上を目的に、細胞が沈まない自動混合システム「MagMix」を開発。3Dプリント技術の長年の課題を解決し、再生医療の実用化を大きく前進させる成果である。

3Dプリンターを使って細胞を含むゲル状材料を積み重ね、生体組織を作る「3Dバイオプリンティング」は、再生医療や創薬研究で急速に広がっている。しかし従来の3Dプリント技術には、プリント中にシリンジ(注射器状の容器)の中で細胞が重力によって下に沈んでしまい、時間が経つほど細胞の分布が不均一になるという課題があった。この沈降現象は、組織の品質ばらつき、ノズル詰まり、細胞数の減少を引き起こし、医療応用に不可欠な「再現性」を大きく損なってきた。

そこでMITの研究チームは、磁力で動く小型攪拌装置「MagMix」を開発。これはシリンジ内部に小さなプロペラを組み込み、外部磁石で回転・上下運動させることで、プリント中も常にバイオインクを混ぜ続ける仕組みであり、既存の3Dプリンターに大きな改造を加える必要はなく、装着するだけで使用できる。
実験では45分間にわたり12個の組織を連続プリントしても、細胞の分布はほぼ均一に保たれた。一方、混合を行わない従来方式では、時間とともに細胞が減少し、ノズル詰まりが頻発。MagMixは、品質安定と作業効率の両方を劇的に改善した。
さらに研究チームは、混合速度と細胞の健康状態も検証。ゆっくり混ぜた場合は約90%の細胞が生存し、中速でも80%以上を維持したが、高速ではダメージが増加。この結果から、やさしく混ぜ続けることが最適であることが明らかになった。
このシステムは3Dプリンターで造形した低コスト部品で構成され、さまざまなサイズのシリンジや市販・自作プリンターに対応可能なため、特別な高額設備を導入せずとも、世界中の研究現場で導入できる現実的な技術となっている。
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