3Dプリントで進化するオリガミ構造

3Dプリンターと折り紙構造を融合し可動性と効率性を両立する新しいものづくりの可能性

エンジニアでありメイカーでもある Matthew Lim は、3Dプリンターと折り紙の考え方を組み合わせた新しい立体構造のデザインに取り組んでいる。折り紙は、紙を折ることで立体や動きを生み出す技法だが、この発想を3Dプリント技術に応用すると、平面に近い形で造形した物をあとから折って完成させるという作り方が可能になる。

この方法の大きな特徴は、材料を無駄にしにくく、造形時間も短くできる点にある。最初から厚みのある立体をプリントするのではなく、薄くシンプルな形を3Dプリンターで出力して折ることで立体に変化させるため、低コストで効率のよい製造ができる。
Matthew Limは、数学や工学の考え方をもとにした折り紙構造を3Dプリンターで誰でも再現できる形に落とし込んでいる。彼が公開しているデータには、完成形のSTLファイルだけでなく、設計に使われたCADデータや推奨されるプリント設定、組み立て方法まで含まれており、単なる完成品ではなく「どう考えて作られているか」まで理解できる内容になっている点が特徴だ。

これらのデザインはPatreonを通じて提供されており、大量販売を狙うのではなく、価値を理解する少数の人に向けた形で展開されている。大きな利益を生むモデルではないが、丁寧に設計された3Dプリントデータを必要とする人にとっては現実的で持続可能な取り組みだと言える。

現在公開されている折り紙構造のデザインは、ケースや可動パーツ、キーホルダー、パッケージ、知育用途など、さまざまな製品へ応用できる可能性を持っている。形が変わること自体が機能になる折り紙構造は、輸送時は平らで、使用時に立体になるといった設計にも向いており、3Dプリンターの活用範囲を広げる要素となる。


関連記事

3DP id.arts の最新投稿をお届けするニュースレターへの登録はこちら

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter でid.artsをフォローしよう!

     

ページ上部へ戻る