3Dプリンティングで脊髄損傷に挑む!電気刺激で神経の再生を促進
アイルランドのアイルランド王立外科医学院(RCSI)と先端材料およびバイオエンジニアリング研究センター AMBER の研究チームは、脊髄損傷を受けた部位に電気刺激を与えることで、神経の再生を促進する3Dプリントインプラントを開発。この研究成果は、科学誌「Advanced Science」に掲載されている。
脊髄損傷は感覚や運動機能を喪失する重大な障害であり、現在のところ決定的な治療法は存在しない。しかし、損傷部に電気刺激を加えることで、神経細胞(ニューロン)の成長を促す可能性があることが知られている。
研究チームは、バッテリー設計などに用いられる超薄型ナノマテリアルを3Dプリンティング技術に応用し、柔らかいゲル状の構造体を作製。この構造体は、脊髄の構造を模倣しつつ、電気信号を細胞に効率的に伝える微細な繊維ネットワークを備えている。
実験では、3Dプリントされたインプラントがニューロンや幹細胞に対し、電気刺激を的確に届け、成長を促進する効果が確認された。また、繊維の配置を調整することで、さらに効果を高めることができたという。
このプロジェクトには、重度の怪我を負ったラグビー選手や神経科学者、臨床医も加わっており、治療現場の声を直接反映しながら開発が進められている。
Image : Neuroscience News
研究チームは、今後この3Dプリント技術を、脊髄損傷以外にも心臓疾患や整形外科、神経疾患など、電気信号による治療が期待される分野へ応用することを視野に入れている。
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